究光塾リポート

第二十七回 究光塾リポート

2018年12月10日

< 第二十七回 究光塾 講義概要 >

 

1.      講義

2.      次回までの課題 ご説明 

 

 

 

 

 

【講師 中村より お伝えしたこと 抜粋】

 

☑ X理論とY理論

簡潔に言えば、X理論というのは性悪説、 Y理論というのは性善説と考えていただくと良いと思います。性悪説というのは、人間というのは放っておくと悪いことをする。つまり、ちゃんと見張っておかないと人間はサボろうとするからね...というような考え方がX理論であります。人間はサボるから、ちゃんと見張っとかないといけない。罰則なども明確にして、厳しく管理していかないとちゃんとやってくれない。いわゆる、昔の伝統的なマネジメントの考え方になります。

一方、Y理論、Y理論的人間観というのは、性善説と言い換えていただいて良いと思います。つまり、人間というのは元々良いことをしようと考えている。悪いことはしようとしませんよ、こういう考え方であります。ですから、そんなにガチガチに管理をしなくても、自発的に行動をするし、自発的に考えてもらおう、という考えであります。

 

人間というのは悪いことをするから...という人間観、 X理論で、組織の管理が行われていると、よく言われるのが、銀行、金融機関です。例えば、5日間連続の休暇が強制的に与えられるとか、3年以上は同じ支店に置かずに人事異動があるとか、どちらかと言うと防犯カメラがお客さん向けというよりは行員の方に向いているとか、これって言うのは、性悪説を基に管理をしている、こういう風なことです。ですから、考え方によっては、 金融機関の業務が今、どんどん AI に取って代わられているというのは、性悪説に基づいている組織というのは AI に簡単に取って代わられるような組織なのかもしれませんね。ですので、絶対的に人間というのは性善説なのか、性悪説なのかというのは議論が分かれるところで、もちろん性善・性悪 両面があるんだと思いますが、組織というのは Y論的人間観でやっていかないといけないのではないかと言われている、こういうふうなことであります。

ただし、社員が何か悪いことをしたとき、例えば横領をした、となった場合に、誰が悪いのか?というと、社員が悪いというよりも、社員にそうさせた会社が悪いということになりますから、最終的には組織が責任を取らないといけないわけですから、完全に Y 理論に基づいて、何のルールも作らずやっていくというわけにもいかないですね、と考えていただいたら良いのかなと思います。

 

 

☑ 目標の連鎖

これは私から皆さんに繰り返し申し上げていることであり復習になりますが、「目標とは目的を達成するための手段であり」「目的とは目標の存在理由である」ということであります。

ですから、目標には必ず目的というものがあるわけなんです。たとえば、個人の目標として、1日5万円の売り上げをあげよう、と考えた時に、その目的は?何故、その目標をしなければならないのか?と言うと、それは自身が所属している組織(たとえば、「係」とします)の目標を達成するためなんですよ、こういうことなんですね。

そしてまた、自分が所属している「係」の目標をどうして達成しなければならないのか? 「係」の目標の存在理由は何か?と言うと、その目的というのは、「係」の上位組織である「課」の目標を達成するためですよ、ということ。

でまた、「課」の目標の存在理由は何か?と考えると、その目的、何のために「課」の目標を達成するのか?を考えると、これは「課」の上位組織である「部」の目標を達成するためですよ、ということ。

では、 「部」の目標の存在理由は何ですか?を考えると、これは、「部」の上位である、「全社」的な目標を達成するためですよ、ということ。

では、「全社」的な目標というのは何のために存在するんですか?と言うと、それは「理念」「経営理念」と言うところに行き着くんですよ、ということ。つまり、経営理念という、その会社の「究極の目的」というところに行き着くんですよ、 ということであります。

 

 

 

☑ 目標による管理

「目標による管理」というのは何か?目標によって何を管理しているか、と言いますとね・・・上記の「個人」-「係」-「課」-「部」-「全社」の話でいきますと、「個人(自身)の目標」の「目的」、つまり、自身が所属している組織の目標に影響が出ていないかどうか? を考えるのが「目標による管理」なんですよ、ということであります。ですから、個人(自身)の目標だけを管理していてもダメなんですよ、ということ。そもそも「個人(自身)の目標」というのは、自身が所属している組織の中で、例えば、「私は、売上目標として、これだけの売上をあげます!」ということですから、それを考えた場合、じゃあその目的は何ですか?を考えると、「結果、私の売上目標達成率は50%でした...」ということではダメなわけですね。自身が所属する組織が、組織としてきちんと利益が出るように、個人(自身)の目標がきちんとできているかどうか?を考えていくというのが、「目標による管理」において重要なことであります。「そもそも自分はどうしてこの目標を立てているのか?」ということを考えること、つまり、「目標」によって「目的」を管理していると考えてくださいね、とこういうことであります。

ですから、たとえば、「目標」が達成できなくても、「目的」が達成できていればいいんですが、それは逆に、「目標」が達成できていないのに「目的」が達成できるということは、「目標」自体の設定がおかしかったですよねということを、もう一度見直しましょう、ということになります。「目標」がきちんと設定できていればできているほど、「目標」が達成できていなかったら、「目的」が達成できないはずです。ですから、「目標による管理」という言葉になっているんです。

最近、皆さん方もお聞きになっているかと思いますが、結局のところ、今申し上げたことと考え方は一緒なんですが、どこの企業においても、特に大手などでは、「KPI」(Key Performance Indicator)ということが盛んに言われるようになってきています。

 

 

☑ ハードアプローチとソフトアプローチ

これも復習になりますが、「問題とはあるべき姿と現状とのギャップ」ですよ、ということをお伝えしています。そこで大事になってくるのが、ハードアプローチとソフトアプローチというお話です。

ハードアプローチというのは、誰か他人から、「こういうあるべき姿と、こういう現状があるから、このギャップを埋めなさい」と指示されているのがハードアプローチです。一方、ソフトアプローチというのは、「自分自身であるべき姿を考えなさい」と、こういうふうなことなわけですね。そうすると、自分自身であるべき姿を設定しようと思うと、まず、現状を把握しないといけないわけです。

そして、自身が行った目標設定が正しいのか間違っているのか、その目標設定が良いのか悪いのか、について、何をもって判断できるのか?といえば、それは「目的」になります。唯一、「目的」でもってでしか、その判断はできないわけなんです。ソフトアプローチにおいて、「あるべき姿」というのは、自分が決めた「目的」に沿っているかどうか、でしか判断することはできない。他人から言われた「目的」、他人から与えられた「目的」というのは、それは、ハードアプローチになりますから・・・。

なので、他人に言われた・他人から与えられた「目標」を達成するのはある意味で楽です、「目的」なんて考えなくて良いわけですから・・・。その相手に怒られないために、「目標」をやっておけば良いんでしょ、ということになる。でも、自分で「目的」を考えて、そのために、この「目標」を達成しよう、という方が余程大変です。なので、経営者というのは、そこが一番大変なところなんです。どこに目的を置くのか、だから、例えば、数字面もそうですし、社員の育成でもそうですし、他のことでもそうです。そうした事柄について、全部、自分で「目標」を設定していこうと思えば、全部の事柄について、自分で「目的」というものを、どこに置くのかということを考えないといけないわけです。ですから、それが、「ビジョンが大事ですよ」とか、「理念が大事ですよ」と言われている理由になってくると考えていただくと良いと思います。当然、借金を返さないといけない、という目的の場合もあるでしょう、経営者は、それをしっかりと考えてくださいね、ということなんです。ですから、会社にはそれぞれ「理念」があるわけですなので、たとえ、同じ業種業態で、事業規模も、従業員数も同じでとか、であっても、つまりは、「現状」が同じ「現状」であったとしても、それぞれに「目的」というものが異なるから、それぞれの「目標」も違っているんです。「私は、こういう目的を持ってるから、こういう目標にするんです」「うちの会社は、こういう目的を持っているから、こういう理念があるから、こういう目標にしてるんです」ということです。

例えば、今度の日曜日に、家族と、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)に出かけよう、という「目標」を立てたとしましょう。「何故、USJに行くんですか?」「いやいや、最近、子供との時間を取っていないので・・・」、つまり USJに行くのは子供と同じ時間を過ごすために行く、そうすると、同じ、子供との時間を過ごすだけだったら、別にUSJに行かずとも、近くの公園でも良いわけだし、映画館に行っても良いわけだし、家で遊ぶのでも良いわけだし・・・と、目標の設定って、いろいろと出てくるわけなんです。それがややもすると、「USJに行く!」と言われているから・・・となると、USJに行くこと自体が「目的」になってしまう。「目標」であったはずのUSJに行くことが、「目的」になっているわけなんです。それがいつも、私が「注意してくださいね」と申し上げている、「手段(目標)」と「目的」を混同しないでくださいね、こういう話に繋がるわけなんです。大事なことなので、もう一度言いますが、設定した「目標」が正しいかどうかは、「目的」に沿っているかどうかだけなんです。

 

そして、「現状」というものを、きちんと把握できていなかったら、そもそも「目標」をどうしようか、ということも分からないわけですから、まずは「現状」を把握して、その後、「目的」というものを設定していくことを考えていかないと、本当の

「あるべき姿」「目標」設定というのはできないですよね、ということであります。

例えば、子供さんの進学に関して、どの学校に行かせようかどうなのかということも、親御さんからするとですね・・・、大学受験や高校受験くらいになると子供さん自身の意思も大分出てくるんでしょうけれども、中学受験とか小学受験とかをなさっているお家では、子供さんの意向もあるけれども、親として、子供が、この小学校・中学校に入ることによって、その上位の「目的」、例えば、「こういう大学に入って欲しい」とか、「こういう生活を送ってほしい」といった、何らかの上位の「目的」があるから、子供さんに「中学受験をさせようか」とか、「小学受験させようか」ということがあるはずなんですよ、間違いなく。

そうすると、まず、「子供の成績からすると・・・」という「現状」を把握することによって、「本当は、このA学校に行けたら良いんだけれども、厳しいから、こちらのB学校に目標を変えてみようか・・・」とか、B学校に目標を設定した場合に、「それで本当に、そもそも中学校受験・小学校受験をさせる目的が達成できるのだろうか?」とか、「その目的が達成できないのであれば、このB学校行かせずとも、公立に行かせようか・・・」とか、というふうに全部、「目的」と「目標」と「現状」とを、三位一体となって考えているはずなんです。で、三位一体として考えられていれば、うまくいく可能性は高くなるでしょう。逆に、うまくいかない時、うまくいっていない時というのは、アインシュタインが、「手段と目的を混同こそ、現代の特徴である」と指摘しているとおり、「目的」と「目標」と「現状」とがごちゃごちゃになっている、と考えていただくと良いだろうと思います。

 

 

▼ 次回までの課題ご説明

1.「振り返り」をメーリングリストにて、直接、全メンバーに送信してください。

 平成30年12月2日(日曜日 23時59分59秒)を期限として送信をお願いいたします。

 ①   本日の内容から得たこと 

 ②   (今月の参加により)取り組むことと決めたこと【エクセルファイル】

   「顧客の増加を前提とした売上の増加」を実現するための

     1.組織レベルの業務に直結するもの

     2.1の取組実現に必要となる自己の取組課題

 ③   その他(感想、質問、講師について等、自由に。ただし必須)

 

2.ご自身に対する他の受講メンバーからの『相互フィードバックシート』のコメントへのフィードバック(返信・回答)

についても、上記1同様、12月2日(日曜日 23時59分59秒)を期限でお願いいたします。

 

3.平成30年12月9日(日曜日 23時59分59秒)提出期限の課題について

 これまでに設定した取組課題【エクセルファイル】についての進捗状況・振り返り

 取組課題【エクセルファイル】は、2種類です。

 ①     課題図書から抽出した「自己の成長」と「顧客の増加を前提とした売上の増加」に繋がる

   課題と解決策(3項目)

 ②     (今月の参加により)取り組むことと決めたこと

      「顧客の増加を前提とした売上の増加」を実現するための

      1.組織レベルの業務に直結するもの

      2.1の取組実現に必要となる自己の取組課題

 

 

< 次回 第二八回 究光塾へ続く・・・・・・ >

 

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