究光塾リポート

第三十三回 究光塾リポート

2019年06月05日

< 講師 中村より お伝えしたこと 抜粋 >

 

 

 

  

 ☑ 論理が通っているかどうか?を確認する

問題の「原因」を追求していく過程では、「それは何故?(Why So?)」「それは何故?(Why So?)」「それは何故?(Why So?)」・・・と、思考を拡げていくわけですが、その論理が通っているかどうか?を確認するときには、「だから何?(So What?)」「だから何?(So What?)」「だから何?(So What?)」・・・と、今度逆から遡っていって、話の筋が通っているかどうかを検証します。

もう一つ、「何故?」には、「何のために?」という「目的」の何故がありました。その「目的」の何故を追求していく過程でも、「何のために?」「何のために?」「何のために?」・・・と、思考を拡げていくわけですが、その論理が通っているかどうか?を確認するには、今度遡るときには、「手段になっているか?」「手段になっているか?」「手段になっているか?」・・・と、でその繋がりをみて、話の筋が通っているかどうかを検証することになります。

 

 

☑ 数値の扱いには注意をする

問題の原因(何故?)を追求し、また、その目的(何のために?)を追求して、問題状況の把握をすると、今度は、その問題への対応策(解決策)を考えていくことになるわけです。問題状況を把握する上で私が口酸っぱく申し上げてきているのは、「具体的な言葉で表現すること」「マジックワードに代表される思考停止に陥らないよう、思考に曖昧さを残さないこと」であります。それは何故かというと、解決策を設定して、実行し、振り返ったときに、これは正しかったのかどうか?正しい設定をしていたのか?実行できているのか?を振り返れないと意味がないからなんです。

そうしたときに、「数値」というのは、具体的に表現ができて、振り返りを行う際にも明確に評価をくだせるので良いものですが、その元となる数値におかしな数値を用いていたとするならば、振り返り自身もおかしなことになってしまうということになってきます。数値というのは分かり易いようで、扱いを一歩間違えると、もの凄くおかしな方向にも行ってしまうものなので注意が必要です。

たとえば、平均値というものと、最頻値とか中央値といったものがあります。極端な例で言いますと、100歳の人と、0歳の人が居れば、平均値は50歳となるわけですが、果たして、50歳という数値が現状を表しているのか?と言えば、まったくそんなことはないわけですね。でも、その50歳という数値を使ってしまうことが往々にしてあります。場合によっては、その数値を使うことが都合の良い人もいたりするわけです。そうすると、たとえば自分たちのやりたいこと、自分たちが考えた施策を通すために、後付けで、50歳という数値を持ちだしてきたりします。いわば、こじつけです。そのこじつけの数値がまかり通ってしまうと、組織はおかしな方向に行ってしまうので注意が必要です。

 

 

☑ 説得の三要素

他人を説得しようと思うと三要素が揃っていることが必要だと言われています。

一つは「信頼性」、信頼関係があるかどうか?です。これについては、相手の話をよく聴くことが大切です。人は自分の話をよく聴いてくれた人のことを信頼します。「相手の話をよく聴くことで相手との信頼関係が構築できますよ」「立派なお話をするよりも相手の話を理解するということで信頼関係が構築できますよ」と、これまでの講義のなかでも申し上げてきたとおりです。

二つ目は「論理性」、話の筋道が通っているかどうか?話の筋道が通っていないと駄目ですね、ということ。いくら信頼関係があったとしても、話していることに筋が通ってなかったら、なかなか相手を説得はできませんね、ということであります。

そして三つ目が「情動性」ということで、熱意とか感情といったものであります。説得するには、相手の感情に訴えるものでなければならない。

あと欄外で「権威性」というものが該当する場合もあります。ただし、ビジネスにおいては権威性による説得というのは原則、無理だと言われています。たとえば超大手企業で、社長と新入社員でも、なかなか難しいかもしれませんね。いわゆる神様みたいな存在の方から言われたら言うことを聞くというのが権威性というものになります。例えば、バスケットをやっているお子さんに対してお父さんがアドバイスしても聞かないけれども、全く同じ内容のアドバイスを、例えば、マイケルジョーダンから言われたとするならば、「ハイ!」と言って聴くというのが権威性になります。これは、ちょっとやそっとのギャップではなかなか権威性による説得というのは難しいですから、実際の仕事における場面で権威性による説得というのは難しいでしょうね。上司が部下に対して、「これ、やっとけ!」と言って、それで説得されているようでも、それはなかなか説得にはなっていなくて、その時には、「(上司の)言うことを聞いておかないと怒られるから・・・」というのでは本当の説得にはなっていないということであります。

 

なぜなら、説得されているかどうか?のチェックポイントとしては、一つが「自発性」であります、自発的に自分から動くかどうか?ということです。そしてもう一つは「継続性」です。他人から何も言われなくても継続的に動けば、それはその人は説得されたと言えます。ですので例えば、私が「こうやった方がいいですよ・・・」と申し上げたとしても、その場では、「中村うるさいし、『ああ、そうですね』と言って、今だけやっておこうか、中村から見えないところではやめておこう・・・」というのは、説得されているわけではない、ということになりますね。自発性もなければ継続性もないわけですから・・・。

 

 

< 次回 第三十四回 究光塾へ続く・・・ >

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