究光塾リポート

第三十回 究光塾リポート

2019年03月08日

< 講師 中村より お伝えしたこと 抜粋 >

  

 

☑ 論理的に考えるための基本の「キ」

たとえば、「なぜ目標売上に満たないのか?」の原因分析をしていく(なぜ?なぜ?と思考していく)際に、スタートの段階で、単に、「客数が少ないから」という表現・表記にしてしまうと、そこから繋がる原因分析の「なぜ?」も曖昧な表現・表記になってしまいます。ここでは、たとえば、「目標としている人数に、何人足りない」とか、一人当たりの売上金額が〇〇円という設定で、1日あたり、あと何人必要であるのか?とか、一月あたりだと何人になるのか?と考えていく方が良いです。全てをすべて、数値にしてください、と申し上げているわけではないんですけれども、「具体的に表現する」ということを心がけることは絶対に必要です。

 

たとえば、 「試用客(トライアルユース)の再来店率が少ない」という表記ではなく、「試用客(トライアルユース)の再来店率が15%に留まっている」とか、「試用客(トライアルユース)20名中2名しか再来店してもらっていない」という表現・表記にすると、どうでしょう? 「試用客(トライアルユース)のうち、18名は再来店してもらえていない」ということになりますから、18名なら18通り以上の再来店をしない「理由」がありうるわけです。もちろん、18名全員が全員、理由が異なることはないでしょう。もちろん重複する理由もあるでしょうが、それでも、「なぜ?」を思考する際には、18通りの半分、9通りくらいの理由はあるんじゃなかろうか?という意識を持つことにより、思考をどんどん拡げて考えることに繋がるわけなんです。それを、「再来店客が少ない」と感覚的に捉えてしまうと、「再来店してもらえる魅力が足りないから・・・」というように、「魅力」という、これまた曖昧な言葉が出てきてしまったり、ということになります。曖昧な言葉からは、曖昧な思考しか生まないというのは、こういうことなんです。

 

あと、いくつかの原因を挙げたことで、ある意味で安心してしまって、「その他、○○」や「・・・等など」という区分を作ってしまうのも要注意です。「その他、○○」「・・・等など」というのは、論理的に考える際の、NGワードです。「その他」「・・・等など」を使った時点で、思考停止をしてしまっている、と捉えてください。

とりわけ、何故なぜ思考のスタート時点で、この曖昧な区分を設けてしまうと、思考は広がっていきません。「その他、○○」や「・・・等など」の区分は、「何でもOK」「何でもござれ」になってしまうんです。「どんぶり勘定」といいますが、ビジネスにおいて、どんぶり勘定は低レベルの思考であると言わざるを得ません。たとえば、キャビネットを整理することを考えてみてください。キャビネットの中身を一旦、箱に入れるとき、整理が苦手な人は、「必要な書籍」「必要な書類」「不要な書籍」「不要な書類」「その他のもの」というように「その他」箱を設けてしまって、結果、「その他」箱があふれることになってしまう。

 

私が、「言葉を明確にしてください、具体的にしてください」と申し上げているのは、「全て定量的にしろ」と言っているわけではないんです。原因を分析していこうと思うと、曖昧な表現言葉では細分化していけない。原因の分析というのは、「思考を拡散する」「思考を収束する」で言うと、思考を拡散していっているわけですから、細分化ができないと様々な思考につながっていくことが難しいですよね、ということで申し上げています。「何故なぜ」の原因分析をすることは大事なことなんですが、「何故なぜ」と考えても、なかなか何故が出てこない、真因にたどり着かない、というのは、実はこういうところに原因がある。

ですから、私がいつも申し上げるのは、「まず言葉の定義を明確にしましょう。」「誰が読んでも分かる平易な言葉を使って考えましょう。」「体言止めの表現をやめ、主語と述語を使った文章にしましょう。」ということ。ここが論理的に考えるということの、まずはスタートですよ、ということであります。

 

  

☑ 因果関係があるかどうか?

「何故なぜ?」というのは、「これの原因は、何故そうなるのか?」<WHY SO(それは何故?)>ということを思考してもらっています。

つぎに、この「何故なぜ?」を逆に遡ってみてください。<SO WHAT(だから何?)>

逆に遡ってみて、「○○だから、こうなる。」「○○だから、こうなっている。」という具合に、意味が通じるかどうか、逆も「意味が通じる」「妥当だ」「そうだよね」となれば、ここには因果関係がある、と言えます。 「何かおかしい?」「??」「ウーン?」と意味が通じない、分からない、そうとは言えない、違和感がある場合は、因果が成り立っていないということです。その内容自体を見直していただくか、表現・表記を見直していただく必要がある、ということになります。これも、原因の追求をしていくうえで確認するべき観点になります。

 

『原因と結果の法則』というものを、再度おさらいしておきますと・・・

経過(プロセス)というものがあって、結果というものが出る。結果が出ている原因というのは、経過(プロセス)からがあるからです。「どうしてこの結果が出たの?」と言えば、「経過(プロセス)がしっかりしていたから」「経過(プロセス)がしっかりしていたから、この結果が出ている。」ということ。逆に、結果が出ないというのは、経過(プロセス)が良くないということ。マグレで結果が出る場合もありますが、この結果とは、「継続的な成果・結果」と考えるべきです。

「あの人は、継続的に結果が出ているよね・・・継続的に結果が出ているのは何故だろう?」と言うとき、それは経過(プロセス)がしっかりしていたから、この結果が出ているんだと言えます。継続的な結果が出ていないのであれば、やはり、この経過(プロセス)に立ち返えって考えないといけないわけなんです。

この経過(プロセス)を経るから、この結果に繋がる、というのが、いわゆる『原因と結果の法則』といわれるものです。

 

「この結果は何故ですか?」 ⇒ 「この経過(プロセス)があったからです。」

「この経過(プロセス)があった。」 ⇒ 「だから、この結果になるんです。」 

この両方ともの矢印(「それは何故?」と「だから何?」)が成立しているときに、『因果関係がある』と言います。

 

 

< 第三十一回 究光塾へ続く・・・ >

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