究光塾リポート

第十七回 究光塾リポート

2018年02月05日

<第十七回 究光塾 全体の流れ>

  

1.読後レポートと取組み課題 相互フィードバック

2.次回までの課題について 

 

1. 読後レポートと取組み課題 相互フィードバック

今月の課題図書『マネー・ボール』、前月の課題図書『ムハマド・ユヌス自伝(下)』の「読後及び取組課題レポート」に寄せられた他の受講者からのフィードバックに目を通していただいたうえで、受講者ご本人からコメントを発表していただきました。

 

【各受講者からのコメント発表を受けて、講師 中村よりお伝えしたこと(抜粋)】

 

◆塾生の皆さんに忘れないでいただきたい 姿

 

ものごとを批判的に捉える姿勢で得られるものはありません。逆に、「痘痕も笑窪」という言葉があります。好きな女の子だったら、痘痕という、ちょっとへこんだくぼみであっても、笑窪に見えてしまうという諺です。ものごとは良いところに着目すれば、自分にとっても価値のあるものとなり得ます。

「我々は自分のことですら自分自身でわかっていない」という前提のもと、この究光塾では、『無知の知』という「無知を知りましょう」「自分の知らないことを知りましょう」というところからスタートしたわけです。実際、社会生活を送る中でも、自分の知っているところだけを見てものごとを言っている人を見ると、ものごとを知っている人は周りにごまんといるわけで、周りの人間はこの人を見て、「あぁ、この人は自分の知らないことは存在しないこととして、ものごとを言うんだなぁ」と思うわけなんです。

 

そうすると、皆さん、立場を変えて考えてみてください。

皆さん方の組織のリーダーが、皆さん方がよくよく知っていることをそのリーダーが知らない状況があったとしましょう。そこで、「知らないから・・・」という理由で、すべてを否定しているようなリーダーに、皆さん方はついていきたいと思うでしょうか? ということなんです。

リーダーとなっていただくべき皆さん方には、自分自身でいろいろな情報を集めて判断をしていかないと、いろいろ判断・見方を誤ってしまうと思います。「自分はこれが嫌い」なのだったら「嫌い」でも良いです、批判するのなら批判するのでも良いです、でも、どれだけの情報を集めて、どれだけの根拠をもとに、私はこういうことを言っているんです、ということをリーダーは明確にしていかないといけないのだろうと思います。自分の都合の良い情報だけを用いて、「いやだ」「きらいだ」と言うのではなくて、どれだけのことを調べたのか、どれだけのことを分かって言っているのか、それが私が一番お伝えしたいこと、『無知の知』ということなんです。「自分が知らない」というものごとには、ひょっとしたら良い部分があるんじゃないか? 素晴らしいところがあるんじゃないか? という、ものごとの見方ができますよ、ということなんです。

「分からないから・・・」というのは、自分のことを正当化するための言葉でしかないんです。これが劣等感コンプレックス、「本当は、自分はものごとを分かっていることは分かっているんだけれども、これについては分からないんです・・・」という、表面上、劣等感を装っているんだけれども、実は、自分自身を肯定している言葉なんです。本当に「分からない」とか「知らない」という人は、分かろうとする努力をしたり、知ろうとする努力をします、でも、「私は分からないので、こういう状態なんです・・・」と言う人というのは、結局のところ、「自己を肯定したい」というそれだけの話なんです。

 

リーダーは、一つの事象をいろんな角度から見ましょう、ということです。皆さん方が尊敬してやまない人も角度を変えて見るとおかしなところがあるかもしれません。逆に「この人は・・・」と思っている人も、角度を変えれば良いところがあるかもしれない。食わず嫌い、先入観を持たずにものごとを見ていきましょう。

 ものごとはいろいろなことが起こりますけれども、起こることを全て自分自身の経験とか、良いことに転嫁していただきたいんです。ものごとにはいろんなことが起こりますけれども、それにいろいろ意味づけしていただいて、それをプラスに捉えていただく、と言うことが大事です。ものごとは、マイナスに捉えたら、そこで思考が停止してしまうんです。

ものごとの好き嫌いについて、「好きか嫌いか?」それ自体をはっきり言っていただくことは良いと思います。ですが、「嫌いだから」ということで思考を停止するのではなくて、嫌いだからどうするのか?ということが大事だと思います。「今、現状で、分からないからどうしていくのか?」「今、嫌いなんだけれども、これからどうしていくのか?」・・・

自分が好きでやっていることと言うのは必ず身につきます、でも嫌々やっていることというのは絶対に身につかないです。これは、食べ物でも「美味しい」と思って食べるのと、「不味いな」と思って食べるのとでは身に付き方が変わってくるということと同様です。「嫌いだな」「分からないな、嫌だな」と思いながら対応するのと、「これってどういうことなんだろう?」と考えながら関心・興味を持って対応するのとでは身に付き方が違ってきますよ、ということです。

 

 

◆「人材不足」について思うこと

 

これは私が社会に出てすぐの頃のお話ですが、当時も、中小企業が採用しようと思っても、なかなか大学生とかは採れなかった時代でした。たとえば、当時は紙媒体が主でしたから、大手の会社案内のとなりに中小企業の会社案内が載ると、どうしても中小企業の方が見劣りするわけです。もうその時点で人の先入観というのは固まってしまいますから、なかなか採用ができない。

そこで、当時、私がコンサルティングでご支援していた会社にやっていただいたことは、当時はまだ個人情報が厳しくなかったですから、大学とか専門学校の名簿から卒業生と思われる方に片っ端から、社長の手紙を送りつけました。当然クレームも来ます。でも、そこから採用できた人も何人もいらっしゃったんです。そうしたことを何年も継続してやり続けて・・・

採用のご支援をさせていただいた一年目というのは、それこそ私も顔が蒼くなりました。会社説明会に一人も来なかったんです。「行きます」と言ってくれていた人も来なくなって・・・。ホテルに会場を借りて、当然ですが、受付を設営して、説明資料もきちんと揃えて、社長はじめ役員の方々、人事の方々、総勢10人くらいで説明会を開催したんですが、一人も来なかったんです。「もう首だろうな・・・」と思っていたら、そちらの経営者の方が、「うちの会社に知名度がないからや、あんたのせいではない」と言っていただいて、そこからまた必死になってやりました。そうしてやっていくうちに、国立大学の出身者とかが採用できるようになりました。そのかわり、その経営者の方は、良い学生がいるとか、会社への資料請求があったり、応募の問い合わせがあったら、日本全国、自分から出向いて、その学生と直接一対一で、喫茶店などで自社の会社説明をしておられました。

 

そうしたことから考えたら、厳しい言い方になりますが、今、中小企業で、「人が足らない」と言っていますが、それは横着なんじゃないかなと思います。本当に人が居ないと仕事ができないと言うなら、経営者を始め社員全員が、人材に採用に向けた動きをしないと、人なんて採れないと思います。自社が一部上場企業であったり、マスコミの就職ランキングに載っているような会社ならまだしも、名もない企業だったら、そういうエネルギーを使わないと、人材なんて採用できないと思います。

企業にとって、人は財産なわけですから・・・。一番の財産はお客様なんですが、社内の人材はそれに次ぐ財産なわけです。たとえば、工場をつくる、ビルを建てる、といったとき、何億の投資をする、何千万でもいいです、そうした投資をするときに、経営者がその現地まで見に行かないか?といったら、かならず自分の目で見に行くはずなんです、中小零細であったら特に・・・。じゃあ、なぜ、人材の採用のときにそれをしないか?という話です。年収250万300万の人でも、10年居ていただいたら数千万の投資になるわけです。その人材を採用するために、なぜエネルギーを投入しないのか?というのが私の発想です。その考えに、当時、その経営者の方は賛同してくださって、「わかった。俺が採用担当になって全国まわる!」とおっしゃって、資料の請求が来た学生に対しては、その経営者が全部、直接、自分で会いに行かれました。その熱意が伝わったからこそ、新卒の学生も採用できたんだと思うんです。

 

これはもう二十数年前の話です。当然、当時と今とでは時代が変わってきているとは思いますけれども・・・。だから私は、人材採用の方法の一つとして、シンプルな方法ですが、「自分たちの知り合いに声を掛ける」ということを申し上げていますが、ここにおいても本当に人が欲しいという熱意をきちんと伝えていく、こうしたことをしていかないといけないと思います。「全国をまわれ」と言っているわけではないです。「もし知り合いで興味を持ってくれた人が居たなら教えてほしい」「直接、自分が説明に行くから」「自分が会いに行くから、うちの会社の説明させてほしい」・・・、もちろん「そこまでされると困るわ・・・」という返答もあるかもしれませんが、それくらいの熱意・エネルギーを掛けても良いと思いますよ、ということです。そこまでせずに「人が採れない・・・」と言っている企業が多いんじゃないのかな、そこまで真剣になって人材の採用を考えていますか?ということです。採用媒体であったり、採用サイトの責任にしている限り、いつまで経っても採用はできないと思います。魅力のある企業だったら、放っておいても人は採用できます。魅力のある商品であればこちらから売り込みに行かずとも買ってもらえるわけでしょ。だから、我々は、皆、自社の商品を売り込みに行くわけです。それと同じです。人材に関しても、自分の会社に言わずとも伝わるような魅力がなかったなら、こちらからその魅力を伝えに行かないといけない。

経営者を楽にしてくれるのは、優秀な人材です。経営者だけじゃないです。管理者の立場、上司の立場から見ても、優秀な人材が入ってくれれば自分が助かるわけです。そう考えると、そのためのエネルギーをどこまで使っていますか?ということです。で、自分が楽になっていくために、採用したら教育もしていくわけです。教育をして、より成長してもらうことで、自分が楽になる、自分が助かることになるわけです。でも、「あいつが悪い・・・」」「あいつは頭悪いから理解できない・・・」と、また他人のせいにするわけです。我々は、どうしても自分を正当化しようとすることを言います。でも、自分がやりたいこと、目的や欲求を達成しようと思うと、自分自身が動かないと、ものごとというのは変わりません、これは大きな組織、小さな組織関係のないことです。でも、中小零細企業というのは、大企業に比べてカンバンがないですから、その分、そこにもエネルギーを使わないといけない、こういうことです。

 

 

◆「経過」と「結果」

 

「経過」と「結果」ということについて、私の認識では、これは、どちらを優先するというレベルの話ではありません。

経過(プロセス)というものがあって、結果というものがある。結果が出ている原因というのは、経過(プロセス)からがあるから。「どうしてこの結果が出たの?」と言うと、「経過(プロセス)がしっかりしていたから、この結果が出ていますよ」ということです。逆に、結果が出ないというのは、経過(プロセス)が良くないということ。マグレで結果が出る場合もありますが、この結果とは、「継続的な結果」と考えるべきでしょう。「継続的に結果が出ているのは何故だろう? この人は、継続的に結果が出ているよね・・・」と言うときは、経過(プロセス)がしっかりしていたから、この結果が出ているんだと言えます。継続的な結果が出ていないのであれば、やはり、この経過(プロセス)に立ち返らないといけないわけです。

この経過(プロセス)を経るから、この結果に繋がる、というのが、いわゆる『原因と結果の法則』といわれるものです。

「この結果は何故ですか?」⇒(A)⇒「この経過(プロセス)があったからです。」

「この経過(プロセス)があった。」⇒(B)⇒「だから、この結果になるんです。」 

この A・B 両方ともの矢印(「それは何故?」と「だから何?」)が成立しているときに、『因果関係がある』と言います。

 

因果関係では、基本的に「原因」が先に来て、「結果」が後に来ますが、こういうことがあります。「結果」が生まれると気分が良くなって、また同じような「結果」を生みたい、ということで、また「経過(プロセス)」を頑張ることができる。たとえばダイエットで、毎日走っていたら『痩せてきた!』という「結果」が生まれた。そうすると、その経過(プロセス)に戻って、『また走ろう!』となる。この経過(プロセス)を何故やっているのか?と言えば、この「結果を出すため」となる。つまり、この場合の「Why So?」の矢印(⇒)は、「目的」を指す意味の「それは何故?」になります。

「何故痩せたんですか?」「毎日走っているからです。」 / 「何故毎日走るんですか?」「痩せるからです。」となると、「結果」が先に来て、「原因」を後として考えることもできる。この関係を「ニワトリタマゴ」と言います。

このニワトリタマゴには、好循環もあれば、悪循環もあります。

この悪い結果になることはわかっているのに、経過(プロセス)を変えたくないから、自分でも分かっているのに経過(プロセス)を変えない、ということです。でも、この悪循環を生み出しているのも自分です。どちらの循環も「自分で決めている」「自分が選択している」と言えるんです。

 

 

 

2. 次回までの課題ご説明

 

▼  「報告書」について

 

ご上司に報告書を提出し面談のうえ、サインをいただいてください。この報告書の目的は「上司とコミュニケーションを取っていだだくこと」です。究光塾開催の翌週の月曜日を最終納期でお願いいたします。

 

▼「振り返り」を全メンバーにメール送信してください。3日以内の送信をお願いいたします。

 

① 本日の内容から得たこと 

② 先月の『本日の参加により取り組むと決めたこと』 の振り返り

③ 今月の参加により取り組むことと決めたこと 

  売上の増加(顧客の創造)を実現するための 

  1.組織レベルの業務に直結するもの

  2.1の取組実現に必要となる自己の取組課題

④ その他(感想、質問、講師について等、自由に。ただし必須)   

 

【講師 中村より】

③については、「顧客の創造」としておりましたが、曖昧過ぎたので修正を加えます。

やはり、今、皆さん方に求められていることとしては(決して売上を上げることのみを目的としてはいけませんが)、「顧客の創造」ということについて、まだ、その本質を皆さん方に理解していただくレベルまで私の方がご案内できておりませんので、より具体的に思考していただくため、「売上を増やす」ことを実現するための、組織レベルの業務に直結するもの、その実現に必要となる自己の取組み課題、としたいと思います。

     

▼平成30年2月18日(日)提出期限の課題について

 

1)  前回の課題図書 『マネー・ボール』から抽出した課題の振り返り

2)  上記メール配信していただく 売上の増加(顧客の創造)を実現するための 

1.組織レベルの業務に直結するもの / 2.1の取組実現に必要となる自己の取組課題

の振り返り

  

 

▼平成30年3月18日(日)提出期限の課題について

 

課題図書は、『失敗の本質』とします。

1)「読後リポート」 1,600文字以上(必須)

2)課題図書を活用した「三つの課題と解決策の検討」

ひとつの課題につき、①課題、②実行方法、③達成手段、④目的、⑤期日を明確にしてください。

課題として設定した内容のもととなった課題図書内の文章を抽出・抜粋してください。

課題として設定した理由を明確にしてください。

課題の表現については、「6W3H」「SMART」の観点を用いて設定をしてください。

 

 

第十八回 究光塾へ続く...

前のページに戻る