究光塾リポート

第十五回 究光塾リポート

2017年12月20日

<第十五回 究光塾 全体の流れ>

  

1.読後レポートと取組み課題 相互フィードバック

2.講義 

3.論語

4.次回までの課題について 

 

1. 読後レポートと取組み課題 相互フィードバック

課題図書『ムハマド・ユヌス自伝(上)』『小倉昌男 経営学』の「読後及び取組課題レポート」に寄せられた他の受講者からのフィードバックコメントに目を通していただいたうえ、ご本人からのコメントを発表していただきました。

 

【各受講者からのコメント発表を受けて、講師 中村よりお伝えしたこと(抜粋)】

 

 

☑ 常識が通じない人間への対応

仕事上においても仕事上に限らずとも、一般的な常識が通じない人はいます。お恥ずかしい話ですが、社内にもおります。世間一般の常識的には大変おかしなことをやっているのですが、実際にやらかしている本人は、「自分は善だ。自分は間違っていない。」という前提でやっています。人間というのは、自分のやっていることの善悪というのは、「自分のやっていることは、すべて善だ」という前提でやっていますから、そこを本人に理解してもらおうと思えば、明確な基準を示すか、放っておくか、をせざるを得ないと思います。

そこで、「どうしても、これは・・・」ということについては、きちんと本人に対して言わないといけないと思います。言わなければいけないことは言うべきで、ただ、相手にとって「言い方」というのは選んだ方が良い。言わなかったら、いつまで経っても伝わりません。お客様であったり、他のメンバーに迷惑を掛けているんだったら、きちんと伝えないといけない。そこでは本気でぶつからないと、いつまで経っても伝わりません。

私のこれまでの経験 ~自分が若い頃、コンサルタントとして年上の方々に意見を申し上げてきた経験、そして今、自分が50という年齢を迎えようとしていること~ から考えると、たとえ年齢的に年下の人間から言われたとしても、その人間がほんとうに訴えかけてきたとするならば、「ああ、こいつは本気で言ってきているんだな・・・」と。「そこまで自分に対して言ってくれているんだなぁ」と。『こういうことやってください』『こういうことをやってもらわないと困るんです』という建設的な意見を真剣に言って来られたら、まともな人間は話を聞いてくれると思います。

そこで大事なこと、目的というのは、自分が気持ちよくなりたいのか、自分の感情面のイライラを解消したいのか、それとも、その本人にきちんと動いてほしいのか、そこの目的が大事です。そこの目的が混同してしまわないように・・・。何度も言っていることですが、他人を変えることはできないです、自分のことしか変えることはできない。そこで、他人のせいにして自分を変えないというのが一番良くないことだと思います。

 

 

☑ 「2・6・2の法則」において押えておくべき観点とは・・・

2・6・2の法則というのは、『組織のなかで2割の人が優秀な働きをし、6割の人が普通の働きをし、2割の人が組織にぶら下がる』 こういうような意味あいで捉えていただくのは、皆さん方のご認識のとおりなんですが・・・

ここでのポイントというのは、2・6・2の、この「2」だけで組織を作るとどうなるか?と言うと、またそのなかで「2・6・2」ができるということなんです。結局、組織というのは、必ず、2・6・2になる。それを、2・6・2の割合を、8・1・1にしようと思っても不可能なんですよ、ということなんです。

たとえば超進学校というのは、入学する時には皆、中学校なら各小学校の、高校校なら各中学校のトップばかりが入学してくるわけですけど、入学後はそのなかで、さらに勉強する生徒、まあまあ普通に勉強する生徒、勉強できない生徒・退学する生徒と出てくるわけです。能力が無いわけじゃないんです、やらなくなる。入学試験を通っている段階で、能力・学力はあるんですからね・・・。でも、優秀な組織であっても優秀な組織の中での2・6・2ができ、ダメな組織であってもダメな組織なりの2・6・2ができるということなんです。これは、人間であってもそうですし、アリとか動物でも一緒だと言われているんですね。だから、たとえば「8・1・1」に比率を上げていくと言っても、それはちょっとナンセンスなのかな、というのが研修者の見解なんですよね。

ですから、逆に言えば、6の人をどう活かすのか?下の2の人をどう活かすのか?を考えた方が良いのではないかということ。そして、組織変革をしない理由として、「2・6・2だから仕方ないよね」「やってもしょうがないよね」と言うところで終わってしまっているのは、それを言い訳にして、自己を正当化するだけで終わってしまっている可能性がありますので、お気をつけていただく必要があると思います。

そして先の進学校の例に話しを戻すと、じゃあ、超進学校のなかでの最下層の2の人たちが、社会に出てダメかというと、決してそうじゃないわけです。案外、大人になった時に、すごい進学校に行ったけれども、そこでの挫折が自分自身の人生にとってプラスの経験となって、社会に出てから、大きなことを成し遂げるかもしれない。そうすると、組織の中での最下層の2というのを、只々「ダメだよね」と言うのでなくて、どう活かすか?ということを考えていかないと、ますます労働人口が減っていく中で考えると、そういう観点でもっていかないといけない。

これまでは、「2・6・2だからしょうがいないよね」という文脈で語られてきたところがありました。これを、2・6・2のそれぞれの階層をどう活かすか?という観点で考えていくと、結果的に「3・4・3」であったり、「3・5・2」にもっていけるのではないか。こういう観点で捉えていただくことが、この「2・6・2の法則」の捉え方として妥当なのだろうと思います。

 

 

☑ 「カウンセリング」とは・・・

世の中の多くの場面で私が体験している、たとえばカウンセリングシートと呼ばれるものであったり、問診票といったものは、サービス提供者が、あくまで自分たち(サービス提供者自身)が聞きたい情報を、お客様に聞いているにすぎない訳でなんです・・・。お客様自身が、サービス提供者に知ってもらっておきたい情報を話していただくようなものにしていかないと、本当のカウンセリングにはならないと、私は思っています。

カウンセリングには「カウンセリングマインド」という考え方があって、このカウンセリングマインドというのは、「人間は、自分の問題は自分で解決できる」ということを前提にして、カウンセリングというのはやるものなんです。だから、カウンセラーという人が、相手に対して答えを出すことがカウンセリングではないんです。世の中には、○○カウンセラーと呼ばれる方たちがいらっしゃいますけれども、「こうしなさい」「ああしなさい」というのは、カウンセラーでもなんでもないんです。逆に言えば、本当の「カウンセリング」ということはどういうことか、を分かっていないから、「カウンセラー」であったり、「カウンセリングシート」という言葉が使えるんだと思います。でも、私から言わせると、その時点でカウンセリングなんてできるわけがない。言葉の意味をきちんと理解していないのに、考えたって正しい行動には移せないです。

では、「カウンセリングとは、こういうことじゃない。・・・ということは、自分たちのこのシートのことは何と呼ぶべきなんだろう?」「このシートを使って、自分たちのやりたいことは、何なのだろう? 何をお客様に対してしたいんだろう?」ということを考えると、適切なシートの名称というものが出てくるんだと思います。

カウンセリング、カウンセラーというのは、その人本人が自分自身で解決するための援助しかしてはいけないんです。「こうしなさい」「ああしなさい」ということは一切言わないのがカウンセラーなんです。カウンセラーは、徹底的なヒアリングを行います。ですから、他人の話を聴き出すための技術というものを徹底的に勉強します、カウンセラー自身のことはほとんど言わないものなんです。

これは繰り返しお伝えをしている、言葉の意味を明確に理解したうえで使いましょう、行動しましょう、ということに通じることであります。

 

 

2.講義 

マネジメントの体系的な概念を学習していただくため、他の受講者の方々とグループ討議をしていただきました。

グループ討議では、個人の意見を発表したうえ、グループの統一見解を出すことをお願いしました。

グループの統一見解については、多数決で決定するのではなく、各自が自分の意見を根拠を持って発表し、グループの統一見解を導き出していただくようにお願いしました。

 

 

 

3.論語 

「為政篇」 

子曰く、「吾、回と言うこと終日、違わざること愚かなるが如し。退きて其の私を省みれば、亦以て発するに足る。回や愚ならず。」 

< お伝えした内容 >

è  「従順」であることも、終始一貫していれば、決して愚かなことではない。「従順」とは、言われたことがしっかりできる、ということ。言われたことがしっかりできる、その姿勢を貫き通せるというのは凄いことだと言えます。

 

 

子曰く、「其の以するところを視、その由るところを観、その安んずる所を察すれば、人焉んぞかくさんや、人焉んぞかくさんや。」 

< お伝えした内容 >

è  その人間の「行動」を見て、その人の「動機」や「経歴」を見て、その人がそれをやっている「目的」や「結果」を見れば、その人の本質が見えてくる。

è  「行動」だけで判断してもだめ、その人の「動機」や「経歴」にも目を向ける、または、その人がどういった「目的」でやっているかということや、その行動の「結果」を見る。

 

 

 

子曰く、「故きを温ねて新しきを知れば、以て師となるべし。」

< お伝えした内容 >

è  「故きを温ねる」(ふるきをたずねる)とは・・・

「古典」や「歴史」の言葉とは「氷」のようなものである(二宮尊徳)。それを理解しようと思ったら、氷を溶かすように、温めることによって、それは自分の身となる。塊(=氷)だけを見たとしても理解はできておらず、液体(=水)にするくらいまで、自分が抱きかかえてしっかり勉強しないと本当の自分の身にはならない。

è  「古典」や「歴史」というものは、「基礎・基本」と言える。

新しいこと(=最新の理論)だけを勉強すれば良いのではなくて、基礎・基本を大事にしないといけない。

≒ 武道の達人は、特殊な型ではなく、基本の型を毎日何時間も反復練習する。

≒ 芸術家もすごいと言われる方ほど、基本的な筆遣いを徹底的に練習する。

≒ 我々も年齢を重ねるほどに、もう一度基本に立ち返り、基礎的・基本的なことを学んでいくことが世の中において役に立つ人間になっていける。

 

 

4.次回までの課題ご説明

▼「報告書」について

ご上司に報告書を提出し面談のうえ、サインをいただいてください。この報告書の目的は「上司とコミュニケーションを取っていだだくこと」です。究光塾開催の翌週の月曜日を最終納期でお願いいたします。(12月4日まで)

 

▼「振り返り」を全メンバーにメール送信してください。

 3日以内の送信をお願いいたします。

① 本日の内容から得たこと 

② 先月の『本日の参加により取り組むと決めたこと』 の振り返り

③ 今月の参加により取り組むことと決めたこと 

顧客の創造を実現するための 

1.組織レベルの業務に直結するもの

2.1の取組実現に必要となる自己の取組課題 「6W3H」「SMART」の観点を用いて、目標設定をしてください。

④ その他(感想、質問、講師について等、自由に。ただし必須) 

        

▼ 「次回までの課題」について

課題図書は、再度、「ムハマド・ユヌス(下)」とします。

1) 「読後リポート」 1,600文字以上(必須)

2) 課題図書を活用した「三つの課題と解決策の検討」

ひとつの課題につき、①課題、②実行方法、③達成手段、④目的、⑤期日を明確にしてください。

⑥前回設定した課題の振り返りもお願いします。

 

課題として設定した内容のもととなった課題図書内の文章を抽出・抜粋してください。

課題として設定した理由を明確にしてください。

課題の表現については、「6W3H」「SMART」の観点を用いて設定をしてください。

 

 

第十六回 究光塾へ続く...

 

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