究光塾リポート

第十四回 究光塾リポート

2017年11月25日

<第十四回 究光塾 全体の流れ>

  

1.読後レポートと取組み課題 相互フィードバック

2.次回までの課題について 

 

1. 読後レポートと取組み課題 相互フィードバック

今月の課題図書『小倉昌男 経営学』、前月の課題図書『マネー・ボール』の「読後及び取組課題レポート」に寄せられた他の受講者からのフィードバックに目を通していただいたうえで、受講者ご本人からコメントを発表していただきました。

 

【各受講者からのコメント発表を受けて、講師 中村よりお伝えしたこと(抜粋)】

 

◆ 「サービスが先、利益は後」(『経営学』:小倉昌男氏)

「利益」は大事です。

ただし、「長期的に利益があがっているかどうか?」ということが大事なんです。

短期的-1年や2年なら利益をあげることはできます。でも10年20年単位で利益があがっていなかったら、それは結局のところ「お客様に評価されていない」ということです。利益があがり続けているというのは、それはやはり「お客様から評価をされている」ということなんです。

とくに今の日本の社会は人口が減っていっています。ですから、もちろん新規顧客も獲得していかないといけないですが、まずは既存顧客を守るということが重要になります、これはどんな商売にも言えることです。人口が増えていっている社会であれば、既存のお客様が少々逃げていったとしてもプラスにしていけるでしょう。しかしながら、人口が減っていっている社会では、既存顧客を守りつつ、新規顧客を獲得していかないと、プラスマイナスで間違いなくマイナスになってしまいます。どれだけ力を入れて新規顧客を獲得していったとしても、結局、既存顧客にリピート利用してもらえなかったら、つまり既存のお客様に満足してもらえなかったら、新規のお客様は間違いなくリピート顧客にはなりません。

小倉昌男さんが「サービスが先、利益は後」=「サービスの追求が先なんだ、サービスの質を追求していけば、結果、利益は後からついてくる。だからそれまで利益のことは考えない、持ち出さない。」とされたというのは本当に凄いことだと思います。余程の自信がないとできないことだと思いますね。

 

 ◆「機能快」について

以前の究光塾のなかで、「機能快」についてお話をしました。「機能快」とは自分の持っている能力を最大限に使った際に得られる快感のことで、自身が持っている機能を使い切るというのが人間にとって一番の快感だと、こういうふうにお話ししましたね。

ただし、この「機能快」とは自己満足の域での話ではありません。

これを『マズローの欲求階層論』を用いてお伝えしますと...。

マズローの欲求階層論では、低次の「生存の欲求」から始まり、「安全の欲求」「親和(帰属)の欲求」「自己顕示(自我自尊)の欲求」と続き、「自己実現の欲求」が最高次の欲求とされていました。この5段階の欲求というのは必ず低次のものを経て高次のもの満たしていくわけなんですが、多くの人は「自己顕示(自我自尊)」で終わってしまいます。そして、この「自己顕示(自我自尊)の欲求」とは、自分自身のための欲求でしかないわけなんです。

最高次の「自己実現の欲求」というのは、その人の人生を掛けて実現できるかどうか、それくらい難しい欲求になります。それは「世のため、他人のため」になることが、マズローが言うところの本当の「自己実現」であるからです。だからと言って、「自己実現」とは、先般、選挙がありましたが、政治家になって日本を動かすとか、そういったことだけを指しているわけではありません。第一、「国民の皆さまのために!!」と声高に言う人ほど実際は信用ならないわけで・・・、世のため他人のために動く人というのは、黙って行動を起こされると私は思っています。当たり前にやる人・行動する人は、そこまでアピールをする必要はないわけですからね・・・。

また、「一番取った!!」「トップを取った!!」というのも、これは周りの人たちとの比較のなかでの一番・トップですから、所詮それは自分が気持ちの良いことであり、周囲からの自分への評価とか、自分のことを良く思ってもらいたいという気持ちがあってのことであり、自分自身のための次元のことでありますから、本来の「機能快」ではないわけなんです。

本来の「自己実現」とは、自分の能力を全部使って精一杯やることによって、他人に喜んでもらうことです。「他人に喜んでもらう」というのは、「自分のため...」「自分のため...」と考えてやっていて他人が喜んでくれるか?と言うと、そうじゃないわけですね。ですから、たとえ他人が喜んでくれなくても、周りの人たちのためにやって、それで「他人のお役に立ったなぁ...」と思えたときには、それは本来の「機能快」になるんだろうと思いますね。

 

 

◆「簡単に真似できそうに見えるが、実際やろうとすると真似できないことが凄い!」

 

「あそこがやっていることは、簡単そうに見えるけど、実際やってみようとするとできないなぁ...」というように、簡単に真似できそうなんだけれども、真似できないことをやっている会社や組織が、本当に強い会社であり、本当に強い組織であると言えます。「あれくらいのことだったら、うちでもできるよね...」と思えても、いざやってみようと思うとできない。そうして初めて表に見えないところで相当な企業努力が行われていることが分かるわけです。もし本当に簡単にできてしまえば、それは競争相手がどんどん出てきてしまうわけですから...。

プロ野球の往年の名選手、「世界の盗塁王」と言われた福本豊さんは外野手としても守備の名手でもありました。その福本豊さんがファインプレーについて、こういうことをおっしゃっています。『打球への出だしが遅くて飛びついて捕っているのはファインプレーでもなんでもない。本当のファインプレーというのは打球に対して素晴らしいタイミングでスタートとして、余裕をもって落下地点に立って普通に捕球することだ。でも素人目には、そうしたプレイはファインプレーには映らない。ファインプレーしていても凡フライを捕ったみたいにしか見えていない。」 もちろん、福本豊さんはそのようなプレイができるよう相当の努力をしていたことでしょう。イチロー選手もそうです。今年、40歳半ばくらいになると思いますが、この歳になっても、代打とはいえ、今も大リーグでプレイをしている。これには相当な練習・準備をしているはずです。しかしながら、そういうところは決して表に見せないですね。 

一方、ダメな人・ダメな組織ほど、「自分は、これだけ努力をしている」「うちはこれだけのことをやってるんです!」とアピールをするわけです。でも、お客さんは見えないところの努力にお金を払っているわけではありません。舞台裏の装置にお金を払っているわけではないんですね。

 

◆ 自発的か? 能動的か? 

今まで私は、「自発性」という言葉は「自分で、自分からやる」という意味合いで、「言われないとやらない」というのが逆の意味の言葉かな、と思っていたんですが、「言われないとやらない」という人間は、実は、世の中には居ないのではないかなと、最近、私は思うようになってきました。そうではなくて、「嫌だからやらないだけ」「やらないといけないと思わないからやらないだけ」なのだろうと...。

人間というのは必ず「自発性」を持っているはずなんです。なぜなら、お腹が空いたらものを食べるわけですし、好きな人とは話したいわけですし、好きな人とはLineやSNSで繋がっていたいわけです。だから、皆、「自発性」は持っている。どこで「自発性」を発揮するかしないかだけの話だと思うんです。

そうしたときに、本来、『仕事は自発的にやらないといけない』というところで、「能動的ではない人(受け身の人)」「言われないとやらない人」「言われてもやらない人」というのは、原則、ダメなんだろうと思います。

 

そして上司・部下の関係で考えるならば、「自発的に行動して」「能動的に行動して」間違えた人・失敗した人。こういった人に対しては評価してあげないといけないと思います。そこの差を、上司は部下を見るときにはしっかり見極めてやっていくべきなのだろうと思います。自分から行動して失敗したなら、良いじゃないですか? でも、嫌々やって失敗したら、これは一番良くないわけです。ですから、人を評価する際には、「うまくいったか?いっていないか?」ではなくて、「言われずとも行動したかどうか?」「言われずとも、お客様から求めていることをやったか?組織から求められていることをやったかどうか?」が重要であるということでしょう。

そのうえで上司としては、自発的にやったことの種類のなかで、「それをやる前に、これを先にやらないといけないだろう」「あれをやる前に、これをやらないといけないだろう」ということ(優先順位)を指導することが重要なんだと思います。

で、全然想定してなかったことを自発的にやって失敗したことに関しては、「仏の顔も三度まで」で、最初の段階では評価してあげる必要があるのだろうと思いますね。そしてまた、気付かない人間も居てるわけです。気付かない部下には、当然、言ってあげないといけない。それも「仏の顔も三度まで」です。最初の段階は分からないから言ってあげないといけない。そして、それを言わずともやるようになっていくようになる。

一番悪いのは、やっていたのにやらなくなることです。これは自発的にやらなくなっているわけですから...「自発性」は、すべてプラスに捉えられがちなんですが、やらなくなるのも「自発性」を発揮するわけなんです。自発的にやらなくなる、自分で考えてやらなくなる、これが一番厄介であり、「悪」だと考えます。

 

◆ 顧客にとって雇用形態の違いは関係ない! 

 

顧客にとっては、パートも正社員も役員もへったくれもないんです。

それは単なる雇用形態の違いだけで、パートであろうと、正社員であろうと、役員であろうと、サービスを受けるお客様の側からすれば、関係のないことなんです。パートだからいい加減な仕事をして良いか?パートだからいい加減な仕事をしても許されるか?というと、決してそんなことはないわけです。たとえば、今はナビが付いていますから、そんなことはなくなりましたが、昔は、「新入社員で、不案内なもので...道を教えてください。」と平気で言ってくるタクシーの運転手さんがいました。実際、申し上げたことはないですけれども、「じゃあ、新人ドライバー価格、ベテランドライバー価格って、あるんですか? 新人ドライバーだから運賃を安くしてもらえるんですか?」という話なんですね。

実際、社内の事務の仕組みについて、社内の誰よりも精通しておられるパートタイマーの方がいらっしゃいます。その方が居なくなると事務が回っていかなくなってお客様に迷惑が掛かってしまう。でも、配偶者控除内で働くと決めておられるので、それこそパート待遇で、会社からすれば頭が下がるほどの仕事をしてくださっている。パートだから、派遣社員だから、ということはお客様から見たら関係ない、こういう話です。

 

 

 

 

2.     次回までの課題ご説明

▼  「報告書」について

ご上司に報告書を提出し面談のうえ、サインをいただいてください。この報告書の目的は「上司とコミュニケーションを取っていだだくこと」です。究光塾開催の翌週の月曜日を最終納期でお願いいたします。(10月30日まで)

 

▼  「振り返り」を全メンバーにメール送信してください。

3日以内の送信をお願いいたします。

この「振り返り」のメール配信の内容に変更点がございます。

① 本日の内容から得たこと 【変更なし】

② 先月の 『本日の参加により取り組むと決めたこと』 の振り返り 【変更なし】

③ 今月の参加により取り組むことと決めたこと 【変更あり】 

   顧客の創造を実現するための

     1.組織レベルの業務に直結するもの

     2.1の取組実現に必要となる自己の取組課題

  「6W3H」「SMART」の観点を用いて、目標設定をしてください。

④ その他(感想、質問、講師について等、自由に。ただし必須) 【変更なし】

  

 

※ ③今月の参加により取り組むことと決めたこと 【変更あり】 について

 【講師 中村より】

最近の皆さんの振り返りを拝見していて、自己の成長に重点をおく傾向が高まり、「お客様からの視点」が欠けてきているように感じています。決して「自己の成長」がダメだと言っているわけではありません。ただし、講義の中でお伝えしているとおり・・・

 

『事業の目的は顧客を創造することである。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それは、マーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果を生む。その他の職務は単なる費用にすぎない。』 (ドラッガー)

 

皆さんの取組みは「顧客の創造」に繋がることが重要です。自己の成長も、「顧客の創造」のための「自己の成長」であるべきです。「顧客の創造」というところにもう一度立ち返りましょう。

 

      

▼  「次回までの課題」について

課題図書は、再度、「ムハマド・ユヌス(上)」とします。

1) 「読後リポート」 1,600文字以上(必須)

2) 課題図書を活用した「三つの課題と解決策の検討」

ひとつの課題につき、①課題、②実行方法、③達成手段、④目的、⑤期日を明確にしてください。

⑥前回設定した課題の振り返りもお願いします。

課題として設定した内容のもととなった課題図書内の文章を抽出・抜粋してください。

課題として設定した理由を明確にしてください。

課題の表現については、「6W3H」「SMART」の観点を用いて設定をしてください。

 

今月『経営学』で実施していただいたとおり、ムハマドユヌス(上)も2回目のレポートとなりますので、「読後レポート(2回目)」「課題図書を活用した課題と解決策の検討(2回目)」と、1回目の「課題図書を活用した課題と解決策の検討」の経過・結果報告も合わせてお願いいたします。

提出期限は、11月19日(日曜日)でお願いいたします。

 

 

第十五回 究光塾へ続く...

 

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