究光塾リポート

第十二回 究光塾リポート

2017年09月08日

<第十二回 究光塾 全体の流れ>

 

1.先月の「読後レポート」と「取組み課題」相互フィードバック

2.次月までの課題について

 

1.「読後レポート」と「取組み課題」相互フィードバック

今月の課題図書 『ムハマド・ユヌス自伝(下)』の「読後及び取組課題レポート」に寄せられた他の受講者からのフィードバックコメントに目を通していただいたうえで、ご本人からコメントを発表していただきました。

講師 中村よりお伝えしたこと <抜粋>

 

◆ どうして論理的にものごとを考える必要があるのか?

いくつかの理由がありますが、一つは、「他人にきちんと伝える」という目的を果たすためには、論理というものが必要になってきます。自分の思考の中では理屈があったとしても、その理屈が他人に伝わらなければ、それは「論理的だ」とは言えません。私たちは社会的な生活を営んでいくわけですから、他人にも理解していただかないといけないわけなんです。

先日、テレビ番組にて、池上彰さんが大平正芳 元総理について、こういう話をしておられました。大平総理のこの話は、記者の間では有名な話で、「あー」とか「うー」とか言いながら間をとって話をされるので、話を聞いている際は、非常に聞き取りづらいんだけれども、話した言葉をメモをとって後で読み返してみると、きちんとした文章になっていたそうです。つまり、頭の中で書き言葉に変換して話をしていたので、間をとることが必要であったのだろう...と。一方、竹下登 元総理は、非常に聞きやすい言葉で話をされるんだけれども、文字にしてみると、あまり大したことは言っていない。もちろん、本来は、聞きやすく、文字にしたときにも中身のある話であることが理想であります。

 

そして、このリポートを書くという課題は、自分の考えをアウトプットしていただくことが一つの目的としてあるんですが、このようなやり取り=相互にフィードバックをしていただいているのは、他人に伝えるということも、また重要なことであるわけなんです。リーダーというのは他人に理解をしてもらって、それによって他人に行動を変えていただく、ということをしていただかないといけません。かつ、リーダーは相手の言っていることを理解することも重要になってきます。そうしたところで、「論理」が必要になってきます。

 

「論理」とは、言葉を適切に使うことが前提としてあります。たとえば5S活動で、「整理しろ!」「整理しろ!」と言うだけでは、本質的な「整理」は到底なされないでしょう。「整理とは要るものと要らないものを分けて要らないものを処分することだから、整理しろ!」と言っても、まだ不十分です。具体的にどうするのか?というところまで、言葉に発して伝えないと、他人は動いてくれません。逆に、自分自身でも、どうしたら要るものと要らないものを分けることができるのか、具体的な行動をイメージできていないと、それを言葉にすることはできません。つまり、言葉できちんと説明できないことは、行動に繋がらないですよ、ということなんです。

最近よく耳にするようになった「意識高い系」と言われる人を、私なりに言うならば、たとえば、「5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾なんですよね...」とか、「整理というのは、要るものと要らないものを分けて要らないものを処分することですよね...」で完結してしまう人が、いわゆる「意識高い系」ではないだろうか、と思います。言葉は知っているけれども行動には移さない、意識が高いだけで実行には移せない人のことをイメージしていただくと良いのではないでしょうか。

もう一つ、「論理」という、言葉を使う力というのは、筋肉と同じで、鍛えれば強くしていけます。筋トレも、「キツイなぁ」と思うことをやるから、力こぶが出てくるようになるわけで、キツイことやらなければ、強化していけません。同じく、「論理」という、言葉を使う力についても、「ウーン??...」と、悩みながら脳みそを使う、このプロセスがないと、いつまで経っても、考える力はついていきませんよ、ということなんです。

 

 

◆ 「言葉」と向き合う

たとえば、広告代理店で、凄いコピーライターといわれる人たちは、一つのコピーをつくるにあたって、膨大な数の案を出すんです。そこから削っていく。でも、ダメな人ほど、一発二発で決めようとする。

同様に、良い文章を書ける人というのも、凄く長い文章を書く。まず長い文章を作って、そこから余計なものを削ぎ落としていく。でも、ダメな人ほど、最初から体裁の良い文章をつくろうとするから、自分でも分かっていない言葉で、ただ何となく格好良さそうな言葉だけを繋ぎあわせて文章をつくるので、周りから分からない文章になっていくんです。

まだまだ私たちのレベルというのは、最初から、一発で他人を感動させられるようなことが言える程、発信もしていないですし、文章も考えられてもいない。ましてや言葉ですら、深く考えられていないレベルです。

もっと言葉というものとしっかり向き合って、考えていかないといけないのではないか? これが、過去1年間の究光塾を振り返ってみて、私が感じていること。まだまだ私が皆さん方のレベルアップに寄与できていないなぁ、と反省としていることであります。

 

 

◆ 『ムハマド・ユヌス自伝(上・下巻)』 を課題図書に選定した理由・意図とは・・・

これは先の課題図書 『小倉昌男 経営学』に対する読後リポートのコメント、しかも運輸・運送に携わっておられる受講メンバーから出たコメント、たとえば、「小倉昌男さんが書いておられることは、当社には当てはまらないなぁ...」とか、「小倉昌男さん・ヤマト運輸さんだからできたことでしょ...」といったコメントが発せられたことが、今回、私が、『ムハマド・ユヌス自伝』を課題図書とすることに決めた理由です。

ムハマド・ユヌスは、既に業として銀行業が成り立っているところ、既に銀行業が成り立っている状態のところに、入り込んでいったわけですね。どうして、ムハマド・ユヌスが銀行業を行うことができたかと言うと、既に成り立っている銀行業ができないことを全部やっていったわけなんです。だから、たとえば、ヤマト運輸さんに勝とうと思ったら、ヤマト運輸さんが出来ていないことをやる、こういうヒントを得てほしい、という意図を持って、課題図書を選定したわけなんです。

 

世の中にあることは、様々な事柄を、自らの良い先生として、学ぶことができるんです。

たとえば、大手の会社ではできないことを、中小企業である当社では取り組んでみようか、ということ。つまり、同業種の事例は、自社の反面教師とすることができるんです。そういう観点を持ってくださいね、ということなんです。「大手が強いから、うちみたいな中小企業では、とても太刀打ちできない、無理、無理!」と言って、同業界での無理無理を、やらない理由にして行動しない会社って、たくさんあるんです。同業界のできていないところを見て、うちの会社もできないと思うのか? 同業界のできていないところを見て、じゃあ、うちの会社は他社がやっていない、こういうやり方をして、そこをできるようになろうか?と考えるのでは、雲泥の差がつくことになり得るんです。

「できない」を「こうしたら、できる」に、思考をどうひっくり返すかを、こうした書籍を読むことによって、ヒントにしてほしかったわけなんです。ですので、今後は、講師である私が、「どういう意図を持ってこの課題図書を選定したか?」を考えて、リポートを作成するようにしてみてください。

 

 

2.次回までの課題ご説明

 

▼  「報告書」について

ご上司に報告書を提出し面談のうえ、サインをいただいてください。

この報告書の目的は「上司とコミュニケーションを取っていだだくこと」です。

究光塾開催の翌週の月曜日を最終納期でお願いいたします。(9月4日まで)

 

▼  「振り返り」を全メンバーにメール送信してください。

 3日以内の送信をお願いいたします。

① 本日の内容から得たこと 

② 先月の 『本日の参加により取り組むと決めたこと』 の振り返り

③ 今月の参加により取り組むと決めたこと 

④ その他(必須)

「6W3H」「SMART」の観点を用いて、目標設定をしてください。

 

 

▼「次回までの課題図書」について

課題図書は、『マネー・ボール 完全版』(著者:マイケル・ルイス)とします。

次回分からは、下線の内容を盛り込んでください。

1) 「読後リポート」

1,600文字以上 書くようにしてください。

2) 課題図書を活用した「三つの課題と解決策の検討」

ひとつの課題につき、

①課題、②実行方法、③達成手段、④目的、⑤期日を明確にしてください。

加えて、⑥前回設定した課題の振り返りをしてください。

やりっぱなしにならないようにしましょう!

 

課題として設定した内容のもととなった課題図書内の文章を抽出・抜粋してください。

課題として設定した理由を明確にしてください。

課題の表現については、「6W3H」「SMART」の観点を用いて設定をしてください。

提出期限は、9月25日(日曜日)でお願いいたします。

 

 

< 第十三回 究光塾 へ続く・・・ >

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