究光塾リポート

第十回 究光塾リポート

2017年07月09日

<第十回 究光塾 全体の流れ>

 

1.先月の取組み課題レポートについて

2.講義 

3.次月までの課題について

 

1.取組み課題レポートについて

前回同様、今月の課題図書 『小倉昌男 経営学』の「読後及び取組課題レポート」に寄せられた他の受講者からのフィードバックコメントに目を通していただいたうえで、受講者ご本人からコメントを発表していただきました。

 

【各受講者からのコメント発表を受けて、講師 中村よりお伝えしたこと(抜粋)】

 

◆ 本を読む目的は...①

 

本を読む目的というのは、たとえ、全然違う異業種の話であったとしても、それを自分自身がどう活かすか?に置き換えていただくということが一番の目的です。

たとえば、『バカの壁』を読んでいただいたときにも、大事なことというのは、「何を自分にどう活かすか?」ということを考えてください、と申し上げてきました。

過去に書かれた本を読んで、「今の時代には当てはまらない」とか、「当社には当てはまらない」と言うのは、やる気がない(=本の内容を自分自身に活かす気持ちがない)証拠です。では、逆に、今、最先端のマニュアルや情報であったとしたならば、自社に活かすことができるのでしょうか?・・・どうでしょう?・・・今度は、「当社は、まだそこまで行ってませんし、体制もできてないですし・・・」と、またやらない言い訳が出てくるのではないでしょうか?

今後、本を読んでいただいて、「自分のところには当てはまらない」「当社には当てはまらない」とおっしゃった場合、「やる気がない」とまでは申し上げません。皆さんが日々お仕事を頑張っておられることは十分に存じ上げています。ですので、「やる気がない」とは思いません、ただし、「本をしっかり読んでいない。」 こういうふうに見做すこととします。

 

◆ 本を読む目的は...② 

『他人 皆 我が師』

『賢者は愚者からも学ぶ、愚者は賢者からも学ばない』

また、「業種業態が違うから、自分のところには当てはまらない、学ぶところはない」ということをおっしゃる方もいらしゃいます。それを言い出すと、たとえ同じ規模で同じ業種に会社であったとしても、かたや業績が伸びている会社、かたや業績が伸びていない会社があるわけで、結局、それぞれ違うんです。その違うところから、それでも学ぶところとは何か?と考えること、自社に取り入れようとすることが、大事なことだと思います。

有名な事例ですが、ローコストキャリア(LCC)のサウスウエスト航空は、収益改善のために、ありとあらゆる見直しを行いました。その見直しのアイデアの一つとして、こういう事例があります。

飛行機は、空港に着陸して乗客を降ろすと、つぎの運航に向けて、整備や清掃といったいろいろな準備をするわけなんですが、もし、こうした準備時間が掛らず、すぐに飛び立つことができれば、飛行機の保有台数自体を少なくすることができ、収益改善に繋がるだろう...と。そこで整備時間や清掃時間を短縮するために良い手本はないか? 自社に取り入れることはないか?と、同業界の飛行機会社を見渡したわけですが、そのような取り組みをしている同業他社はなかった。

そこで、サウスウエスト航空は何を手本にしたか?というと、インディ500という、カーレースのピット作業のやり方を真似よう、取り入れようとしたわけなんです。

つまり、同業界の真似をしている限り、結局は、業界のトップにはなれないわけなんです。良くて2番手、3番手、はたまた5番手、6番手、もっと下にしかなれないかもしれません。だから、「同業界でトップを狙おうと思ったら、業界ではやっていないところから学ばないといけない」と考えるところが、頭ひとつふたつ出てくる組織であるわけなんです。

大事なことは、「他人 皆 我が師」ということ、「あらゆるところから学べるんですよ」ということ、「賢者は愚者からも学ぶが、その逆はない」ということなんです。とりわけ、模倣しようとするならば他業種から学ぶことが有効だ、と言われています。たとえば、スティーブジョブスは、任天堂のファミリーコンピュータを真似て、プラットフォームの考え方をアイフォンに取り入れたという一説がありますし、小倉昌男さんが宅配業界に参入したのも、吉野家を真似たということが今回の課題図書『経営学』のなかで述べられていたと思います。

他のところから自分のところに取り入れられることはないか? 同業者から学べるところはないか?はもちろんのこと、自分がお客さんとして行っているところなど他業種からも何か学べることはないか?を考える癖を付けていただきたくて、皆さん方に本を読んでいただくことをご提示しています。本であれば、自由な時間に読んでいただいて、ヒントにしていただけるだろうということで課題図書をご提示しているわけなんです。

 

◆ ボトムアップ・トップダウン

会社の方針を、全社組織に落とし込むということに関して、マネジメント上の理想論ではあるんですが、トップダウンという方向性よりも、ボトムアップ・トップダウンという方が理想的であると言われています。

どういうことかと言うと、お客様との接点である現場のことを一番知っている、現場に近しい人間が、トップに対して現場の状況・情報を上げる(ボトムアップ)、その情報に基づいて、トップはいろいろな意思決定をして、現場に方針・指示を出す、落とし込んでいく(トップダウン)、これが理想だと言われています。組織によって、社長はじめ経営幹部が、現場から離れている場合=お客様との直接的な接点がない場合には、市場や顧客の声を一番知っているのは、やはり、市場やお客様と直接接点のある現場の人達であるわけなんです。そうすると、現場からの情報・状況を社長はじめ経営幹部に上げるということが、ボトムアップとして最初にあって、それを基に、社長はじめ経営幹部がいろいろなことを考えて決定して、トップダウンで落としていくということです。

ダメになった会社や組織ほど、そうしたことがなされていない。日本が戦争に負けたこともそうだと言われていますし、また、これは、ある流通業の店舗の店長経験者からヒアリングする機会があって聞いた話なんですが・・・

本社から店舗に対して、品揃えや陳列の指示が降りてくるわけなんですが、現場の店舗の店長からすると、「現場のことを何も分かっていない者(本社の人間)が、こんな品揃え、陳列の指示を出してきて...。うちのエリアのお客様はこの品揃えでは買ってくれない。かえってお客さんからの支持が得られずお客様が離れていくじゃないか。」と思っている。でも、本社の指示通りしないで売上が上げらなければ怒られるので、本社からの視察があるときだけ、本社指示の品揃え、陳列をしておいて、それ以外のときは、自分達が思う店づくりをしていた、というんです。もう、完全に本社と現場とが乖離してしまっています。それでは、ダメになるのも当たり前ですし、ダメになった組織というのは、そういう状況に陥っています。

 

 

◆ 5S・6Sについて

5Sというのは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」のことを言います。この「躾」の手前に、「作法」というものを入れるのが基本的な6Sになります。歴史的に「作法」という考え方が入れられるようになったのは、そんなに古い考え方ではないと認識しています。

「整理」とは、必要なものと不要なものを分けて、

       不要なものを処分して必要なものだけの状態にすること。

「整頓」とは、必要なものを必要なときに、効率的に無駄なく取り出せる状態にすること。

「清掃」とは、職場をゴミなし・汚れなしの状態にすること。

「清潔」とは、整理・整頓・清掃の3Sを維持すること。

「躾」とは、決められたルールを常に正しく実行できるように習慣づけること。

 

まず、「整理」ができていない状態(要らないものがある状態)では、「整頓」することはできないですし、「清掃」しようにもきちんとした清掃にはなりません。ですので、この3Sを維持することが大切になってきます。だから、「3Sをするだけで当社では充分だ」と考えて、3S運動に力を入れている会社もあります。

また、正しい行動を起こせるようにすることを「作法」の定義だと私は認識していますが、私はあえて「作法」を入れず、「躾」ということをお伝えしています。なぜなら、「作法」ができている人は、「躾」ができる人だと言い換えられると思いますので...。

ここで大切な観点としては、6Sを知っていて、あえて自分のところでは5Sを実行しようとするのか、6Sを知らずに、「別に5Sでいいじゃないか?」と思って5Sをやっているのかの違いです。これは普段の仕事を進めるなかでも、知っているんだけれども、あえてやらない、というレベルまでしっかりと考えるということが、本質的な「考える」ということだと私は思っています。

ですから、私は、6Sとして「作法」を入れておられるところを否定するつもりはなく、「躾」のなかに「作法」というものが含まれていると、私は認識しているので、私は5Sでお伝えをしている、こういうことなんです。

で、実際、今、私が5S研修で携わらせていただいているところで目覚ましい成果を出しておられる会社があります。男所帯の会社なんですが、壁一面、タバコのヤニで黄色くなっていたのを、自分たちだけで、ビックリするくらい綺麗になさいました。それは、「やる目的」が、ご本人達のなかでスカッと腑に落ちた、「折角やるのなら、きちんとやらないと無駄も多いし、気持ちも良くないよね...」と思われた。まさにそういう時に、人間は行動するものなんだ、人のやる気の問題なんだ、ということがよく分かる事例となりました。

 

 

2. 今月の講義  

前回に引き続き、マネジメントの体系的な概念を学習していただくため、設問をご用意し、第一段階として「個人の解答を検討」していただき、第二段階として「他の受講者の方々との討議(グループ討議)」をしていただきました。

グループ討議では、個人で出した解答を持ち寄って、グループの統一見解を出していただくことをお願いしました。統一見解は、多数決で決定するものではないので、各自が根拠を持って討議をしていただくことをお願いしました。

 

 

 

3.     次回までの課題について

 

▼ 「報告書」について

ご上司に報告書を提出し面談のうえ、サインをいただいてください。

この報告書の目的は「上司とコミュニケーションを取っていだだくこと」です。

究光塾開催の翌週の月曜日を最終納期でお願いいたします。(7月3日まで)

 

▼  「振り返り」を全メンバーにメール送信してください。

 

 3日以内の送信をお願いいたします。

① 本日の内容から得たこと 

② 先月の 『本日の参加により取り組むと決めたこと』 の振り返り

③ 今月の参加により取り組むと決めたこと 

④ その他(必須)

「6W3H」「SMART」の観点を用いて、目標設定をしてください。

 

 「次回までの課題図書」について

7月18日までの期間の課題図書は、『ムハマド・ユヌス自伝(上)』とします。

「読後リポート」 そして課題図書を活用した「三つの課題と解決策の検討」に取り組んでください。

 

ひとつの課題につき、①課題、②実行方法、③達成手段、④目的、⑤期日を明確にしてください。

課題として設定した内容のもととなった課題図書内の文章を抽出・抜粋してください。

課題として設定した理由を明確にしてください。

 

課題の表現については、「6W3H」「SMART」の観点を用いて設定をしてください。

提出期限は、7月10日(月曜日)でお願いいたします。

 

 

< 第十一回 究光塾へ続く・・・ > 

 

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