究光塾リポート

第九回 究光塾リポート

2017年06月12日

<第九回 究光塾 全体の流れ>

 

1.先月の取組み課題レポートについて

2.先月の講義内容の振り返り 

3.講義 

4.論語

5.次月までの課題について

 

1.取組み課題レポートについて

今月の究光塾では、課題図書 『バカの壁』の「読後及び、取組課題レポート」に寄せられた他の受講者からのフィードバックコメントに目を通していただいたうえで、各受講者の方からコメントを発表していただきました。

 

【各受講者からのコメント発表を受けて、講師 中村よりお伝えしたこと(抜粋)】

 

◆ 言葉の選び方・使い方について

言葉の選択の仕方・使い方に、本人の心情が映し出されていることが往々にしてあります。

たとえば、会社の組織図の表現として、一番上がお客様、次が役職のついていない社員、次に役職が付いている人、そして社長が一番下、という組織図を敢えて作っておられるところがあります。出来ていない会社さんほど、こういった表示をなさっていることが見受けられます。

また、「整理整頓」という標語が張り出されている会社は、整理整頓ができていないから整理整頓と表示するわけなんです。普段から整理整頓できている会社であれば、張り出す必要もないわけです。

テレビCMを見ていても、ソフトなイメージのCMを流しておられるところほど、実態はその逆であることが多いですね。実態につきまとっている荒々しいイメージを変えるために、ソフトなイメージCMを流していることが多い。自分たちは「こうなんですよ」ということではなくて、自分たちは「こうありたい」「こう見られたい」、自分たちができていないことがイメージとして表に出てきているということが実態としてあります。

 

◆「Make mistake early (失敗は早めに経験すべし)」

「早く失敗をするために、早く行動を起こせ」という考え方があります。以前にもお伝えしましたが、失敗というのは、捉えようによれば、「このやり方ではダメなんだ」ということが分かった、ということになるわけです。ですから、さっさと実行すれば、ダメなやり方も、早く分かりますよ、と捉えていただくと良いと思います。

ただし、同じ失敗を繰り返すというのはダメです。昔から言われていることですが、バカと利口な人の違いとは、二度同じ失敗をする人をバカと言い、失敗を経験して、そこで学習して、つぎから同じ失敗をしない人を利口な人、賢い人と言いますね。

最初からうまくいく人はいないわけですから、何も考えずに手を付けて、同じ失敗を繰り返すことを肯定しているわけではありません。「正しくできるようになるために、さっさと失敗してしまって、それを改善してください」ということです。

最初から完璧にできることというのは、以前にやったことがあることか、よほど簡単なことでしかないわけです。そうすると、難しいこと、レベルの高いことや、新しいことが、最初からうまく出来たというのは、マグレでしかないわけですから、逆に、2回目3回目の時に調子に乗って大きな失敗をする可能性がありますから、最初に失敗をしておく方が良いですね、ということであります。

 

◆ 他人の話を聴けない人

「他人の話を聴けない」と言いますが、何らかの障害がない限り、人間は、皆、他人の話を聞いています。ただ、本人が「この話は自分にとって大事な話であるか、大事な話でないか、を勝手に取捨選択してしまっている」、こういうことなんです。決して聞こえていないわけではないんです、聞いているんです。

たとえば、今ではもう病院でも銀行でも、個人情報との関係などで、名前で呼び出しを行わなくなっているのかもしれませんが、「○○さん」「△△さん」と名前が呼び出しされているときに、自分の名前が呼ばれると、パッと反応することができるわけです。つまり、他の人の名前が呼ばれているときにも、実は人間はそれを聞いているんです。でなければ、自分の名前が呼ばれたときに反応することができませんから・・・。「違う、自分の名前は呼ばれていない」「違う、自分じゃない」と聞いているわけなんです。そして、この「違う」「違う」とやっていることが多い人というのが、いわゆる「他人の話を聴けない」人だというわけなんです。

他人の話を聴けない人は、厳しい言い方をするならば、「他人の話を、一旦、全部、受け入れよう」という姿勢がない人だと言えます。そういう点では、「自分は聴くのが苦手だ」「自分は、他人の話を聴けないんだ」というのは違うんです。人間、自分にとって必要な情報というのは、取り入れているわけなんです。たとえば、電車に乗っているときに、電車が急停車した場合、普段、自分の乗降駅名以外のアナウンスは聞き流しているけれども、急停車したら、車内アナウンスを聞こうとするわけです。「この情報は聞いておかないといけないな」と思うから、耳に入ってくるわけです。

これも厳しい言い方になりますが、「優等生コンプレックス」を持っている人=相手のことを上から目線で見ている人というのは、他人の話を聴かないです。だってそうでしょう。「この人の話は凄いなぁ」と思っていれば、「この人の話を漏らさず聞こう」とするわけですから...。

まずは、自分本位で取捨選択をせず、相手の話を、全部、聴こうとすることが大事なんだろうと思います。そういう意味で聴くことは、物凄くパワーの要ること、疲れることでもあります。そして、聴くのが上手な方というのは、人間、誰しも、すべて聴くというのは不可能なわけですから、本当に大事なことを押えて聴くことができる人、というのが他人の話を聴くのが上手な人だと言えると思います。逆に、他人の話が聞けない人というのは、「これは関係ない」「これも関係ない」と間違った取捨選択をしている、思い込みが強い人であるとも言えるでしょう。純粋に相手が何を考えているかを聴こうとせずに、自分の基準で聴こうとしているから、間違えるんです。相手の基準で聴いてあげると、「この人の言いたいことは、こういうことなんだろうな...」とポイントを押えることができるんだと思います。そしてこれは人間関係を構築するうえでは、非常に重要なことであります。

 

2. 前回の講義内容の振り返り

 

◆ 守破離 について

表層面だけを真似をすることでは、守破離の「守」にもなりえません。

たとえば、いろいろな事業体を思いつく背景として、何かをヒントにしていることがたくさんあります。たとえば、ヤマト運輸の小倉昌男さんが宅急便というものを思いついた背景として、あるものを真似されています。また、トヨタ自動車のカンバン方式は、アメリカのスーパーマーケットのオペレーションを真似されています。

こうしたヤマト運輸さん、トヨタ自動車さんが、単なる「猿まね」で終わらずに、何をされてきたかと言うと、真似をしている時に自分自身がトレーニングされている、ということなんです。一方で、単なる猿まねで終わる人は、自分が楽をしたいから、表層面だけを真似ようとする。そういう人は、真似をしたって、同じレベルには行き着きません。

しかし、小倉昌男さんのヤマト運輸さん、トヨタ自動車さんが、当初は真似から入ったとしても、つまり守破離の「守」から入ったとしても、どうして「破」に行き着いたかというと、「守」の段階で、それだけの努力をしているからなんです。同じことを真似できるようになるために、努力をしているわけです。努力をしているからこそ、真似したところの苦労であるとか、問題点というものも見えてくるわけなんです。そこで、「じゃあ、自分たちは、こうしてみよう」ということをするから、「破」に行き着くわけです。

本来、真似をするのは、努力をするということを覚えるために真似をするわけなんです。そして、実は、真似をしている時が一番のトレーニングになるということ。そして、さらに、真似をしている対象と違うことをやってみるのも、真似をしている最中に気が付くものである、ということなんです。そして、「破」というのは、自分に当てはめて、しっかりと考えたときに行き着くところであるようです。外にある答えを追っかけているとか、真似をしているだけでは、「破」には行き着かなくて、自分に置き換える、「自分だったらこうするな」と考えたときに「破」に行き着くということなんです。

 

 

◆ 「アイデアは、準備をした人のところに降りてくる」

「アイデアは、準備をした人のところに降りてくる」ということが先日読んだ本に書いてありました。

たとえば、私自身で考えてみても、研修のなかで、自分の伝えたいことを、どう説明したら良いんだろう?と悩み続けています。そうすると、それを解決してくれるような書籍に出会う、また、同じ本を読んでいても、今まで気付かなかったようなことに気付くわけです。

ですから、皆さん方も、自分の課題というものが明確になって、課題というものを考えれば考える程、うまくやっている人の話を聴けたりとか、参考となる人に出会ったりとか、たまたま新聞を読んでいたら、そういうことが記事として書いてあったりとか、ということがあるわけなんです。別に、特別な本を読まないといけないというわけではなく、日常の生活のなかで気付くか、気付かないか、を分けるのは、「これを何とかしないといけないな」と思っているかどうか、ここに行き着くのだろうと思います。

 

3.今月の講義 

 

マネジメントの体系的な概念を学習していただくため、他の受講者の方々とグループ討議をしていただきました。

グループ討議では、個人の意見を発表したうえ、グループの統一見解を出すことをお願いしました。

グループの統一見解については、多数決で決定するのではなく、各自が自分の意見を根拠を持って発表し、グループの統一見解を導き出していただくようにお願いしました。

 

 

 

4.論語 

 

◆ 「為政篇」

子曰く、政を為すに徳を以てすれば、譬えば北辰のその所に居りて、衆星これに共するがごとし。 

< お伝えした内容 >

è  「徳」とは、「人からの信頼を得られる力」のことを指しています。

 

子曰く、詩三百、一言以てこれを蔽う、曰く、思い邪なし。

< お伝えした内容 >

è  「詩」とは、「詩経」という、中国最古の詩篇を指しています。

è  日本においても、天皇家が和歌を詠みます。和歌を詠むことによって、状況や現象や自分の気持ちというものを表しているわけですが、この和歌を詠むのは、自分自身の言葉の力を磨くため、というところがあるようです。昔の人々が和歌を詠んでいたのも、和歌を詠むことによって自分の言葉の力を磨いていた、自分の伝えたいこと短い和歌のなかに纏める、別の言葉に置き換えて伝える、ということをしていたところがあるようです。

 

子曰く、これを道びくに政を以てし、これを斉うるに刑を以てすれば、民免れて恥ずること無し。これを道びくに徳を以てし、これを斉えるに礼を以てすれば、恥ありて且つ格し。

< お伝えした内容 >

è  人民を導くのに法律や禁令を用いて行い、刑罰で統制を図ろうとすると、人民はその抜け穴を探し、逃れることを恥ずかしいと思わなくなる。人民を導くのに徳を用いて、刑罰ではなく、自発的な行動規範を持って統制すれば、人民は恥ずかしいということを知って正しい方向へ進むようになる。

è  組織という観点においても、本来は、細かいルールや罰則のない組織の方が良いわけです。そういう組織が大人の組織であると言えます。決まりごとの多い組織は幼児性が高い組織です。組織は、経営者・管理職者の器以上のものにはなりません。自分自身のレベルを上げて、自分自身の器を大きくしていくことを考えていってください。

 

5.   次月までの課題について

 

▼「報告書」について

ご上司に報告書を提出し面談のうえ、サインをいただいてください。この報告書の目的は「上司とコミュニケーションを取っていだだくこと」です。究光塾開催の翌週の月曜日を最終納期でお願いいたします。(5月29日まで)

 

▼「振り返り」を全メンバーにメール送信してください。

 3日以内の送信をお願いいたします。

① 本日の内容から得たこと 

② 先月の 『本日の参加により取り組むと決めたこと』 の振り返り

③ 今月の参加により取り組むと決めたこと 

④ その他(必須)

今回お伝えしたSMARTの観点を用いて、目標設定をしてください。

 

▼ 「次回までの課題」について

6月までの期間は、『経営学』(小倉昌男 著)とします。

「読後リポート」 そして、課題図書を活用した「三つの課題と解決策の検討」に取り組んでください。

 

ひとつの課題につき、①課題、②実行方法、③達成手段、④目的、⑤期日を明確にしてください。

課題として設定した内容のもととなった課題図書内の文章を抽出・抜粋してください。

課題として設定した理由を明確にしてください。

 

課題の表現については、SMARTの観点を用いて設定をしてください。

提出期限は、6月18日(日曜日)でお願いいたします。

 

 

第十回 究光塾へ続く...

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