究光塾リポート

第七回 究光塾リポート

2017年04月10日

<第七回 究光塾 全体の流れ>

 

1.先月の課題について

  課題図書『道は開ける』読後及び取組課題レポートについて

2.先月の講義内容の振り返り 

3.講義 

4.論語

5.次月までの課題について

 

1.課題図書『道は開ける』読後及び取組課題レポートについて

 

◆『鏡の法則』という考え方があります。

 

相手にしてほしい態度を、まず自分自身が取る、ということです。

たとえば、小さな子供が怒られているときに、大人に向かって笑うのは、

「怒らずに笑ってよ」というシグナルであるわけです。ですので、

たとえば、お客様に笑っていただきたかったら、まず自分から、にこやかにする。

もちろん、何をしても通じないお客様もいらっしゃることでしょう。

でも「皆に通じるか?」という観点でするのではなくて、

「自分がにこやかにすることで、笑っていただける方を、ひとりでも増やしていきましょう」

という観点で考えていただくことが大切であると思います。

 

◆ 顧客との接点を持つ場面の重要性

昨今、インターネット通販の利用が増えてきていますね。

インターネット通販での買い物では、店舗の人とのやり取りというものは、

それほどなくて、それよりむしろ、購入した商品を自宅まで届けてくれる

宅配業者さんとの接点の方が、顧客にとっては重要な一面を持つことがある

と私は考えています。

その一面をどう捉えているか、

つまり「宅配業者に商品を引き渡す段階が自分たちの仕事の終わりだ」と考えている会社と、

宅配業者に依頼はしているんだけれども

「お客様の手元に商品が届いてはじめて自分たちの仕事は完遂するんだ」と考えている会社、

ここにその会社の顧客に対する姿勢が表れているという発想を私はしています。

 

インターネット通販では、お客様と直接的な接点はなかったとしても、

たとえば宅配業者に依頼してモノを運んでもらうというのは、その部分を外注に出している、

本来なら自社でお客様のところまで商品を届けるところなのですが、

その段階を宅配業者さんに下請けに出している、と考えることができるわけです。

そうすると、本来お客様の手元に商品が届くまでが自社の仕事の責任範囲であるわけなんです。

もし何か問題が起こった際に外注先や下請業者のせいにして責任逃れをしようとする会社を、

皆さんは信頼するでしょうか?それで納得いくでしょうか?

ですから、お客様の手元に商品を届ける段階でのコミュニケーションの不備や、

人と人とのやり取りの拙さに起因しても、仕事は無くなることがある、

自社からお客様が離れていくことがありうるわけなんです。

そういった意味では、何らかのかたちでお客様との接点は必ずある。

その接点のある場面において、お客様の満足というものも決まってくる。

人と人との繋がり、1対1でのやり取りというものは、まだまだ残っていると考えています。

 

◆「満足」について

「お客様に満足していただく」とか、「顧客満足」という言葉もありますが、

この「満足」というものは、いきなり到達するものではありません。

サービスを提供するお仕事を例に考えると、

例えば、新規のお客様は提供を受けるサービスに対して、

「大丈夫かなぁ」という不安感をもっておられるわけです。

ですから、まずは、この不安感を取り除き安心してもらうこと、

そのためのコミュニケーションを取れているか?がひとつ重要になってきます。

そして、サービスをひと通り提供し終えることによって安心をしてもらう。

この安心が積み重なっていくと、信頼というものになっていきます。

そしてまた、この信頼を積み重ねることによって、満足というものの下地に繋がっていく、

こういうわけです。

 

逆に、安心感を与えらず、不安感を与えつづけていくと、それが募って不信感になります。

また、不信感が積み重なっていくことによって、不満になってしまうのです。

不満を感じている人を、いきなり満足に振り向けることは到底無理な話です。

まずは不信感を取り除くこと、不安感を取り除くことをしていくしかありません。

そうして、もう一度、安心していただいて、信頼していただいて、

やっと満足にたどり着くための下地ができていく。

ですから、一度お客様が離れてしまうと、戻ってこない、というのはそういうことなんです。

一度、不満を持ってしまったお客様に対して、

「ごめんなさい」と謝るだけでは、不信感は取り除けない、不安感はぬぐえないわけなんです。

 

「安心」→「信頼」→「満足」

   ↓

「不安」→「不信」→「不満」

 

もし、不安感を持っておられるお客様に、言い訳をしたりとか、

自分の非を認めず進めようとすると、完全に不信感が固まってしまうことになります。

不安を持ったお客様に不信感を持たれないようにするためには、

誠実にお詫びをしていくことも必要になります。

そして、「もう一度チャンスを下さい」ということをして、安心感を持っていただく、

こういうステップを踏まない限り、お客様との関係改善は進みません。

この「安心」と「不安」というやりとりは、

結局、人と人の接点、face to faceを通じて行うことになります。

お客様から発せられる不安のシグナルをいかに気が付いて手を打つことができるかが大切です。

これは、お客様との関係だけに留まるものではありません。

部下との関係も同様のことが言えます。 

   

◆ 『SMART』という観点について

この究光塾も半年以上が経過しました。

皆さん方に、毎月、取り組んでいただいている課題設定や行動計画について、

皆さんからも、「まだまだ具体的ではないかな」というコメントが出てきていたり、

それは、私(講師 中村)から拝見していても、同様に感じています。

現段階で、私の方から、個々の内容について、ご指摘することはいたしません。

ただし、これまでは「5W1H、6W3Hをベースに、具体的な記述としてください。

具体的な目標設定が具体的な行動を生みますからね...」とお願いしておりましたが、

次のステップとして、今後は、これからお伝えする観点を加えて意識して、

レポートや取組課題を検討いただくようお願いします。

 

『SMART』 という考え方があります。

目標を設定する際のキーワードの頭文字を取ったものです。

 

S pecific

= 具体的に、明確に

M easurable

= 測定可能な

A chievable

= 到達(達成)可能な

R ealistic

= 成果に基づいて(現実をみた)

T ime bound

= 期限付き(時間の縛りを効かせた)

 

 

 

 

 

 

 

 

「Specific」の観点はこれまでもお伝えしてきました。

たとえば「スローガン」や「ビジョン」といったものは

組織を構成する様々な人に向けて提示するものであるため抽象的となりますが、

個人が設定する課題においては、具体的であること、5W1H(6W3H)を明確にすること、

他人(第三者)が見ても理解できる、イメージできることが大切です。

人間は具体的でない「まとめた表現」をしている時というのは、

思考が横着している時であり、思考が横着しているときは、行動も横着になります。

 

「Measurable」 のポイントは、

目標達成が測定できる、第三者でも測定できるものであることです。

 

「Achievable」のポイントは、

難解すぎることなく、かと言って簡単にできるものでもないことです。

 

「Realistic」のポイントは、

達成プロセスではなく、達成したい成果に基づいた設定であることです。

 

「Time bound」のポイントは、

期限を明示する、必要であれば、中間の期日を設定することです。

 

 

2.前回の講義内容の振り返り

 

◆ 「少数精鋭化」について  

 ~インターネット検索の危険性、バカの壁を高くすることのないよう注意!

前回、少数精鋭化というお話をいたしました。

その「振り返り」メールのなかで、ある受講者の方が、土光敏夫さんについて調べてくださり、

つぎのように、他の受講メンバーと共有化を図ってくださいました。ありがとうございました。

> 土光敏夫さんについて検索をかけてみまして、

> 土光敏夫さんが遺した言葉を見つけましたので、コピペします。

> 「少数精鋭という言葉がある。この言葉には二つの意味がある。

>  一つは「精鋭を少数使う」ということである。

> そしてもう一つは「少数にすれば皆が精鋭になりうる」ということである。

> 私は後者の意味を重視したい。

> 前者だとすでに出来上がった精鋭を自分の手元に集めるということで、

> 虫がよすぎるというものだ。

> 後者では今自分の手元にいる玉石混交(ぎょくせきこんこう)の人々を、

> 玉にはますます磨きをかけ、

> 石にはトレーニングによって玉に変えていこうということで

> 全員の能力を底上げすることを意図している。」とありました。

 

世の中では、少数精鋭化と言うと「優秀な・立派な人を集めてくるだけ」

というように捉えられがちなんですが、そんな簡単に優秀な人ばかりを集められるか?

ということなんです。ましてや、今は、「人が採用できない」と言っている時代です。

 

あと、これも何度も申し上げていることですが、インターネットの記事には、

本当にご注意いただく必要があります。全てを鵜呑みにすることは危険です。

たとえば、インターネット検索で、「土光敏夫」さんを調べると、

今回のように、土光敏夫さんは少数精鋭化について、このように言っていますよ、

という記事がヒットするのですが、「少数精鋭化」だけをインターネット検索掛けると、

おそらく「優秀な人を集める、精鋭部隊を集めて...」ということしか

ヒットしないと思うんです。

 

養老孟司さんの『バカの壁』を課題図書として読んでいただきましたが、

インターネットを使えば使うほど、「バカの壁」は高くなっていく、

すなわち、自分で自分の枠を狭めていくことになりかねないと、私は考えています。

何故かといえば、インターネットの検索エンジンというのは、

非常に賢いので、検索をかける言葉について、忠実に、その情報を返します。

でも、この検索をかける言葉というのは、自分が知っているもの、

つまり、自分の「バカの壁」の内側から出てきたものです。

当たり前のことですが、自分が知らない範囲のこと、

つまり、自分の「バカの壁」の外側のことというのは、

自分の中から出てくることはないので、検索の掛けようもないわけなんです。

今回のことを例にあげれば、自分の知らないこと、

つまり、自分の「バカの壁」の外側にある『土光敏夫さん』という人のことを知ってはじめて、

「少数精鋭化」の持っている違う意味(=少数化すれば精鋭化する)が出てくるわけなんです。

これが、インターネットの怖いところだと考えています。

 

たとえば我々のような講師が、「あなたの言っていること間違っていますよ」と指摘されて、

「いや、インターネットにそう書いてあったから...」と言っていては話にならないわけです。

話を聞く立場から見ても、「インターネットに、そう書いてあったんです...」という

言い訳をしている人に対して、「うんうん、それはインターネットが悪いよね」とは

思わないわけです。つまり、誰もインターネットのことは信用していないということです。

それなのに、自分が調べものをするときには、

(自分にとって)都合が良いからインターネットを使う。

こんな矛盾した話はないんですね。

 

我々の子供の頃というのは、百科事典といった何冊もあるような事典を、

高いお金を出して、親は子供のために買い揃えたりしていたわけです。

昔は、それくらいお金を出さないと、情報は手に入らなかったわけです。

それが今は、そういった情報が無料で手に入るわけですから・・・

無料で手に入れておいて、文句を言われる筋合いはない、と言われても仕方のないこと、

あくまでも自己責任で考えていただくべきものであります。

十分に注意をなさってください。

 

◆ 「サービスが先、利益は後」

今、ヤマト運輸さんの問題が出ています。

2年間遡って、全部、残業代を払ったら、いったい幾らになるんだ?

と取り沙汰されていて、でもヤマト運輸さんはそれを払おうとしています。

これはあくまで私見なのですが、

ヤマト運輸さんにとって、これは追い風になりうると思っています。

今回の件を、ヤマト運輸さんが、全部対応したとしましょう。

そうすると、その対応を見て、同業の仕事に就いている方が、

ヤマト運輸さんに集まっていく可能性があると思っています。

私は、小倉昌男さんという方の大ファンなので、

ヤマト運輸のことを勝手に信じている部分があるのですが、

ヤマト運輸という会社は、これもプラスに変えていくのではないか、と思っています。

 

ヤマト運輸がもともと掲げている「サービスが先、利益は後」の時代は終わった

みたいなことが書かれた記事も目にしますが、私は、それは違うと思うんです。

その概念は絶対に変わるものではありません。

「自分たちの利益の方が先だ」というような会社から、果たして、皆さん

モノを買いたいと思うでしょうか?絶対そんなことはないんです。

「きちんとした仕事をしているからこそ、適正な利益を取ってね」と、

我々はお金を払うわけですから...。

 

 

3.  今月の講義内容(抜粋)

◆ 「管理」とは何か

「マネジメントの目的」とは、資源(ヒト・モノ・カネ・時間・情報等)を

有効活用すること。

つまり、マネジメントとは、資源をムダにしないために行うものです。

「マネジメントの方法」として、具体的にどういうことをするかというと、

マネジメントサイクルの循環ということです、

すなわち、PLAN-DO-CHECK-ACTION 

のサイクルを循環させることであります。

「マネジメントの対象」としては、人を通じての成果・目標達成ということになります。

人だけを管理してもダメですし、成果・目標だけを管理してもダメです。

我々は、目標達成するために仕事をしているわけです。

 

◆  PDCA のサイクル

私自身、社会に出て、「PDCAが大事だ」ということを新入社員研修などで教えてもらい、

「なるほど、PDCAか」と。

でも実際、計画倒れの会社があるのを目にして、計画や目標は立てるんだけれども、

結局、実行しないことが多いということで、まずは実行すること(=DOから始める)が

大事なのではないかと考えていたことがありました。

しかしながら、この数年前から、「そうじゃないな。やはり、PLANからだなぁ」と

考えるようになりました。

何故かというと、実行するときには、何かPLANがあって、

おぼろげながらでも何かしらのPLANがあってやっているからです。

人間、何も考えずに行動するということは、夢遊病者であるとか、

アルコールを飲んで意識を失ったまま行動しているようなこと以外は、ありえないと思います。

ただPLANについては 全てのPLANが具体的で明確化されたものばかりではなく、

ただ何となくとか、欲望の赴くままにといったレベルのPLANもありますね、

ということなんです。

PLANからスタートしているのには、間違いない、ただし、PLANを立てるのに、

あまりに時間が掛かるくらいであれば、粗々のPLANで良いから、

まずは実行する方が優先順位としては高い、こういうふうにお考えになってください。

PLANを明確化しないといけないということで、

「ああしようか、こうしようか」と机の上で考えて時間ばかりを費やすよりは、

ある程度のPLANは考えたうえで、まず実行(DO)に移しましょうということ、

実行することによって、何を具体的にしていかないといけないか、

ということが分かってきます(CHECK)。

 

以前、本で読んだ内容で、「なるほど、これは良いなぁ」と思ったのは、

『72時間ルール』を設定すると良いということです。

どういうことかと言えば、何かやろうと思ったら、

72時間以内に、なんらかの行動を起こす、完遂しなくても良いわけです、

でも着手してみること。

72時間あれば、どれだけ今忙しくても、何らか手を付けることはできる、

その手を付けるということが大事なんだ、こういうことだろうと思います。

 

4.     論語 今月の講義内容(抜粋)

「学而篇」 

子禽、子貢に問いて曰く、夫子是の邦に至るや、必ずその政を聞く。

これを求めたるか、抑もこれを与えたるか。

子貢曰く、夫子は、温、良、恭、倹、譲、以てこれを得たり。

夫子のこれを求むるに異なるか。其れ諸れ人の求むるに異なるか。 

< お伝えした内容 >

è  温厚、善良、恭順、倹約、謙譲な孔子の人柄によって、

 こちらから売り込まずとも、自然と、政治に対する意見を求められるようになる。

è  「倹約」と言うと、ムダ使いをしないというイメージで使うことが多いですが、

 そもそも倹約とは「お金に関心がない」ことを意味するようです。

 また「勤勉」というのも、仕事を一生懸命するというイメージがありますが、

 そもそも勤勉とは、道徳、人の信頼を得ることに対して一生懸命するのが、

 本来の勤勉の意味であるそうです。

 

有子曰く、礼の用は和を貴しと為す。先王の道も斯れを美と為す。

小大之に由るも行なわれざる所あり。和を知りて和すれども、

礼を以て之を節せざれば、亦行われず。

< お伝えした内容 >

è  形式と調和のバランスが大切です。

 形式・儀礼ばかりにこだわっていてもダメ。

 調和ばかりにこだわっていてもダメ。

 

子曰く、君子は食飽かんことを求むる事無く、居安からんことを求むること無し。

事敏にして言に謹み、有道に就きて正す。学を好むと謂うべきのみ。

< お伝えした内容 >

è  紳士は、食べることや住むことに贅沢を求めることはしません。

 行動は機敏に、発言は慎重に、人の道をわきまえていて、

 自分自身の成長のための師を求めているということです。

 

「信用と信頼」について

例えば、「信用調査」とは言いますが、「信頼調査」という言葉はありません。

信用調査によって、「あなたには、これだけの資産があることを把握できましたから、

あなたのことを信用しますよ」となるわけで、信用とは、その人の持っているもの、

その人の背景にあるものを信用するという意味があるようです。

一方、信頼というのは、持っているものや背景は関係なく、

その人自身、その人の中身を信頼するという意味があるようです。

もちろん、両方あることに越したことはありませんが...。

 

 

5.     次回までの課題ご説明

 

▼「報告書」について

ご上司に報告書を提出し面談のうえ、サインをいただいてください。

この報告書の目的は「上司とコミュニケーションを取っていだだくこと」です。

究光塾開催の翌週の月曜日を最終納期でお願いいたします。(4月3日まで)

 

▼「振り返り」を全メンバーにメール送信してください。

 3日以内の送信をお願いいたします。

① 本日の内容から得たこと 

② 先月の『本日の参加により取り組むと決めたこと』の振り返り

③ 今月の参加により取り組むと決めたこと 

④ その他(必須)

 今回お伝えしたSMARTの観点を用いて、目標設定をしてください。

 

▼ 「次回までの課題」について

これまでお読みいただいた課題図書について、先月より、月に1冊ずつ、

3ヶ月で3冊を読み返していただくことに取り組んでいただいております。

今回4月までの期間は、『君に成功を贈る』(中村天風)です。

再度、「読後リポート」そして、課題図書を活用した「課題と解決策の検討」に

取り組んでください。

 

ひとつの課題につき、

①課題、②実行方法、③達成手段、④目的、⑤期日を明確にしてください。

課題として設定した内容のもととなった課題図書内の文章を抽出・抜粋してください。

課題として設定した理由を明確にしてください。

 

課題の表現については、今回お伝えしたSMARTの観点を用いて設定をしてください。

提出期限は、4月17日(日曜日)でお願いいたします。

 

第八回 究光塾へ続く...

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