究光塾リポート

第六回 究光塾リポート

2017年03月07日

<第六回 究光塾 全体の流れ>

 

1.先月の課題について

  これまでの課題図書3冊を活用した「課題と解決策の検討」レポート

2.先月の講義内容の振り返り 

3.講義 

4.論語

5.次月までの課題について

 

1.先月の課題について

究光塾では、毎月終了後、受講者の皆様に「振り返りレポート」を作成いただき、

講師の中村はもちろんのこと、他の受講者にも配信し、共有していただいております。

また、毎月の課題図書のレポートについても、受講者同士で共有していただいたうえ、

相互フィードバック(他のメンバーのレポートを読み感想・コメントをつけていただく)を

行っていただいています。

受講者の皆さんに、多様な「視座」をお持ちいただくことを目的としています。

もちろん、そのやり取りについては、講師の中村はすべてに目を通していて、

必要に応じて、テーマとして取り上げ、お話をさせていただいています。

 

◆これまでの課題図書3冊を活用した「課題と解決策の検討」レポートについて

中村より・・・

各人から提出いただいた課題を、すでに共有していただいています。

他の受講者からの 『フィードバックシート』をお配りしますので

目を通していただき、厳しいフィードバックコメントこそ、しっかり受け止めてください。

今回は、私からコメントはしません。

 

この課題に取り組む目的は、課題図書をお読みいただいて、

「ああ、良い本やったなぁ」で終わらさず、

書籍から得たことをご自身の行動に移すことで本質的な理解をしていただくこと、

すなわち、『知行合一の実践』が目的です。

 

その過程においては、本で読んだことを行動に移していくこと、

実践していくことの難しさも同時に気づき、体感いただけると思います。

ものすごく難しいことですが、そこから逃げていては、人も組織も強くなってはいきません。

我々はそこから逃げずに、何回失敗してでも、うまくいくようになるまで取り組んでいく、

これしかありません。

具体的な次回までの課題については、最後にご説明します。

 

 

2. 前回の講義内容の振り返り

 

本勉強会に限ったことではありませんが、講師の中村は、

大切なことは、繰り返し繰り返し、その表現のしかたや、

たとえ話や、事例も変えながら、お伝えおります。

 

今月の究光塾においても、先月、お伝えした内容を振り返りながら、

プラスアルファ、先月とは違った観点からのお話をさせていただきました。

 

◆「目標の連鎖」「責任の連鎖」について

「目標の連鎖」とは、上位者の目標は下位者の限定的な目的となるということです。

個人の目標は、その個人が所属する最小単位の目標を達成するためにつくられます。

例えば、全社-事業部-部-課-係-個人という階層の組織があるとすると、

個人の目標は、その上位である係の目標を達成するためにつくられます。

そして係の目標が達成されることにより課の目標が達成される、

課の目標が達成されることにより部の目標が達成される、

部の目標が達成されることにより事業部の目標が達成される、

事業部の目標が達成されることにより全社の目標が達成される。

そして、目標の連鎖が最終的にいきつく先、

つまり、全社的な目標を達成することの目的は、

経営理念の実現ということになります。

このように目標は連鎖しているのです。

 

目標の連鎖に、組織の大きいか小さいかは関係ありません。

組織規模が小さく、階層が少ない組織であっても同様です。ですから、

「上司が、『目標!目標!』と、うるさく言っているだけで、私には関係ないことだ...」

と言っているような個人が居ると、とてもその組織の目標達成はできません。

 

「責任の連鎖」とは、上位者の責任は下位者の限定的な責任となるということです。

「目標」と「責任」は一対となるものです。

たとえば、現場で起こった不祥事に対して組織のトップが謝罪する、

これは責任が連鎖しているからです。

立場・立場の目標と責任があるということです。

何か問題が発生すれば、組織内部においては、

上司が部下に対して指導や注意をすることになりますが、

組織外部に対しては上位者が責任を取るということになります。

 

 

◆  目的と目標について

「目的」は「マト」であり、目標の存在理由。

「目標」とは「シルベ」、目的達成のための手段、と考えています。

どちらも大切ですが、目的(何のため?なぜ?Why?)こそ重要です。

目的が明確でなければ、人は納得して動いてくれません。

目的に納得するからこそ、人は動きます(行動を起こします)。

また、目的に納得していれば、細かな指示をせずとも、

人は自ら、達成するための手段を考えるものです。

皆さん、普段から業務を進めるなかで、目標を定めたときに

目的というものをしっかり持っているでしょうか? 

何のために、これをするか、を考えているでしょうか? 

目標を定めて行動するときに、

「上司がそう言ったから...」「これやらないと上司に怒られるから...」 

このように言っている人が、果たして目標達成できるでしょうか?

 

また、私は、これまでのコンサルティング経験から、

こういう考え方を重要視しています。

計画した目標を達成できたとしても目的が果たせていなければ「×」です。

目的が達成できていないのだから、その目標を達成したことで満足してはダメです。

逆に、計画した目標が達成できなかったとしても目的が果たせていれば「○」です。

目的を達成することこそ重要です。

これは、とくに中堅中小企業の経営支援に携わってきた経験から導きだされたものです。

中堅中小企業では資金繰りを回すことが重要です。

資金繰りが立ち行かなければ会社は倒産します。

資金繰りを回すことは、会社の存続と直結しており、会社の存続こそ最重要の目的となります。

仮にどれだけ高い売上目標を達成できたとしても、その売上金を回収できなければ、

たとえば、売り上げた得意先が倒産してしまって売上金の入金がなければ、

その影響で自社も倒産してしまうことがありうるわけです。

そのときに「頑張って、売上目標を達成していたのに...」で済むか?ということなんです。

どうにかして資金の手立てをして資金繰りを回すこと

=会社を存続させること

=目的を果たすことこそが重要になるわけです。

 

そのためには、常々、今、どうなっているか?どういう状況にあるか?

目標の進捗確認、振り返りが必要になってきます。

 

もちろん会社にとって、崇高な目的(理念)を求めていくことは大切なことですが、

私は、目的のレベルは問いません。

なぜなら、企業の成長段階や、場面・場面においては、

目先の生活をしていくことも大切な目的になるからです。

「最低限、皆が、雨露凌いで生活していくためには、これだけの売上必要だよね」

ということになれば、その目的達成のためには、

土下座してでも仕事を取ってこようということになるわけです。

しかしながら、その目的が明確になっていなかったり、他人事だと考えているような人、

「自分は給料のために働いているだけ、給料に見合わない仕事なんかしないよ...」

と考えている人にとっては、「なんで土下座までして仕事取ってこないといけないの?」

となって行動しないでしょう。

しかしながら、結局、それは自分で自分の首を絞めていることになります。

なぜなら、すべて連鎖しているからです。

 

あと、もう一つ、我々が陥りがちなこととして注意しなければいけないのは、

目的と目標のすり替わりです。

 

アインシュタインがこういう言葉を残しています。

 『手段と目的の混同こそ、現代の特徴である。』 

 

この「手段」という言葉を、「目標」に置き換えると、

目標と目的の混同こそ、現代の特徴である、となります。 

いつの間にか目的を見失い、目標を達成することが目的化してしまう、

こういうことが良くあります。

我々の企業活動においては、どうしても手段の部分にばかり、

つまり目標の部分ばかりに重点を置きがちになるので注意が必要です。

 

 

◆  「マニュアル」について

そもそも私がマニュアルについて知ったのは、20代半ばの頃にある本を読んだこと、

そして、東京ディズニーランドにマニュアルを導入された博士号を持った研究者の方

(実はこの方は、アメリカ海兵隊の組織理論の構築にも携わった方でありました)

から教えていただいたことが元になっていて、

そのうえで、自分でもいろいろと本を調べてお話をしているものです。

マニュアルというのは、「マノス」=手という元々の意味があって、

ビジネス上で使われるようになったマニュアルの最初は、

アメリカのシンガーミシンという会社が、

今でいうところのフランチャイズ展開をするためにつくった文書が

マニュアルの最初ではないか、と言われています。

これは、アメリカのどこに行っても、ミシンが同じ水準で修理されるように、

と作った文書だと言われています。

本来マニュアルというのは3種類あって、

3種類がきちんと統合されて初めて1つのマニュアルになると言われています。

 

 1.マインドマニュアル(Why to)(なぜするの?)

 2.テキストマニュアル (What to)(なにをするの?)

 3.オペレーションマニュアル (How to)(どのようにするの?)

 

たとえば、東京ディズニーランド・ディズニーシーで働いているアルバイトの割合は、

90数%と言われています。9割以上がアルバイトだということです。

東京ディズニーランドが働く人達に徹底して教えるのは、

『あなた方は、エンターテナーなんですよ』ということです。

たとえば、ゴミ拾いをしている人には、ゴミ拾いの仕方自体はほとんど教えない。

『あなたは、東京ディズニーランドをステージとして、

そこでゴミを拾うことを演じている演者なんですよ』ということを徹底して教えます。

 

ところで、演劇をやっておられる方、学生の頃に演劇の経験のある方に聞いた話では、

演者は、自分のセリフだけを覚えるわけではなく、演劇全体の流れを理解して、

他の演者のセリフをソラで覚えるまではいかなくても、

全体のなかで自分の役割は何かをきちんと理解して、自分のセリフを覚えると聞きました。

 

つまり、ゴミ拾いの仕方、掃除の仕方だけを考えている人は、

パーク全体で何が起こっているかには関心がなく、ゴミしか見ないんです。

自分のセリフだけを覚えて、演劇全体の流れなんて関係ないと言うのと一緒です。

しかし、全体のなかで、自分はどんな役割をして、何をしないといけないかを考えると、

縦割りにもならないし、全体にとって役に立つ働き方をしよう、となるわけなんです。

マニュアルを細かくすればするほど、人は全体のことを考えなくなると言われています。

東京ディズニーランドでは、「なぜするのか?」を徹底的に教えている、

「あなた方は、キャストなんですよ、エンターテナーなんですよ」ということを

徹底して教えているわけなんです。

 

ですから、たとえば、百貨店の清掃スタッフに売り場のことを聞いても、

「分かりません」と言われると思います。

しかし、東京ディズニーランドに行って、掃除をしている人に、

パーク内のことを聞くと、ほぼパーフェクトに答えてくれます。

それは、演劇の全体の流れを頭の中に入れて、その中で自分の役割を果たしているから、

こういうことなんです。


 

 

3. 今月の講義内容(抜粋)

◆「少数精鋭化」とは...

今、テレビで言われている「少数精鋭主義ですね」とか、

また、ある企業様で、私がこの「少数精鋭」の話をした際に、

電子辞書をお持ちいただいて、「電子辞書にはこういう意味が書いてあります」と

ご説明いただいたこともありますが、「言葉は生きものだ」ということで、

元々使われはじめたときの意味や解釈とかなり変わってくるということは、

よくあることですが・・・・・

私がお話しする「少数精鋭」というのは、

オールスターチームを作るとか、優秀な人を集めて、という意味ではありません。

これは昭和40年代の話になりますが、土光敏夫さんという方がいらっしゃいます。

東芝や今のIHI、当時の石川島重工業などの社長をなさっていた方で、

経団連の会長をされたり、いわゆる、当時の経済界で大きな影響力を持っていた方です。

「めざしの土光さん」と言われたりして、(本当のところは知らないですが)

質素倹約を率先垂範なさったような方です。

 

この土光敏夫さんが、産業能率大学の出版部門から出した本のなかに、

「少数精鋭」について書いておられます。

そこには、『少数精鋭化とは、少数にすれば精鋭化する。』と書いてあります。

 

心理学には「綱引き理論」というものがあります。

これは綱引きに参加する人数が増えれば増えるほど、一人の出す力というのは弱くなっていく、

逆に、人数が少なくなればなるほど「俺がやらんとしょうがない」ということで力を出す

というものです。

土光敏夫さんがおっしゃっている「少数精鋭化」というのは、

人数が少なくなると、自分がやらないといけないということで、

自分の能力でできる精一杯の力を出すようになる。

自分の能力でできる精一杯の力を出し続けていると、徐々にでも、

その人の能力はあがっていく。

つまり、人数が少なくなると、その人の能力がどんどん精鋭化して高まっていく、

ということなんです。

ここで管理職として大切なことは何か?...

それは、

部下の能力をきちんと把握して、その部下に見合った適正な負荷を掛けてあげることです。

そして、

組織のメンバー 一人ひとりが、自分の能力に見合った適正な負荷を責任を持って

請けることで、組織のメンバーの発揮する力は、足し算ではなく、掛け算になっていく。

つまり、組織として相乗効果を発揮できるようになるのです。

管理職として、部下の能力をしっかり把握して、

その人の能力があがるように適正な負荷を掛けていくこと、

これは確かにものすごく難しいことですが、

能力の高い人を集めて、オールスターチーム、ドリームチームを作って...

ということよりも、よほど現実的で、よほど地に足の着いた話ではないでしょうか?

 

 

4.論語 今月の講義内容(抜粋)

「学而篇」

 

◆ 曾子曰く、吾、日に三たび吾身を省みる。人の為に謀りて忠ならざるか。

  朋友と交わりて信ならざるか。習わざるを伝えしか。 

 

< お伝えした内容 >

è  「日に三たび吾身を省みる」

他人との関わり合いについて、日に何度も振り返りを行って、

自分からダメなところを取り除いていきましょう。

「省みる」とは、ムダなものを取り除く、という意味を持っています、

これが「反省」の本来意味するところです。

自分にとってムダなことはやめることです。

戦略の要諦は「選択と集中」です。

つまり、「やらないことを決めること」だと言い替えられます。

 

◆ 子曰く、弟子、入りては則ち孝、出でては則ち弟、謹みて信あり、

  汎く衆を愛して仁に親しみ、行いて余力あらば、則ち以て文を学ぶ。

 

< お伝えした内容 >

è  家の中では親孝行し、外では目上の人を敬い素直に従うこと。

全てに慎重になり、嘘をつかないこと。

他人に愛情をもって接して、立派な人から教えを受けましょう。

それだけのことをやって、それでも余裕があれば、本を読み、勉強をしましょう。

 

勉強ばかりしている人は、資産を溜めこんでいるだけ、とも言えます。

まずは自分自身が、きちんとしたこと(親孝行すること、目上の人を敬い従うこと...)が

できるようになることです。

それが出来ていないと、立派な人に相手にもしてもらえません。

自分自身が成長すれば、立派だなと思える人、素晴らしい人との出会いに恵まれるように

なっていきます。

 

◆ 子曰く、君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。

  忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること勿れ。過ちては則ち改むるに憚る勿かれ。

 

< お伝えした内容 >

è  中身がない人には威厳もありません。

学べば、頑固さ・頑なさ・こだわり(=バカの壁)が無くなっていくものです。

常に誠実であり、自分のレベルをあげて、自分より優れた人と付き合っていけるように

なりましょう。

(自分が楽な相手とばかり付き合っていては自分のレベルはあがらない)

また、失敗したらすぐに改め、素直に「ごめんなさい」と謝ることが大切です。

 

5.   次回までの課題ご説明

▼「報告書」について

ご上司に報告書を提出し面談のうえ、サインをいただいてください。

この報告書の目的は「上司とコミュニケーションを取っていだだくこと」です。

究光塾開催の翌週の月曜日を最終納期でお願いいたします。(3月6日まで)

 

「振り返り」を全メンバーにメール送信してください。

3日以内の送信をお願いいたします。

① 本日の内容から得たこと 

② 先月の『本日の参加により取り組むと決めたこと』の振り返り

③ 今月の参加により取り組むと決めたこと 

④ その他(必須)

5W1Hをベースに、具体的な記述としてください。

具体的な目標設定が具体的な行動を生みます。

 

▼ 「次回までの課題」について

今月から、月に1冊ずつ、3ヶ月で3冊を読み返していただきます。

今回3月までの期間は、『道は開ける』(デール・カーネギー)です。

再度「読後リポート」

そして課題図書を活用した「課題と解決策の検討」に取り組んでください。

 

お読みいただくのは2回目以上となりますので以前より読み易く感じていただけると思います。

「課題と解決策の検討」についても、今月ご提出いただいたものが叩き台としてありますので、

じっくりと考え、見直しを行い、改めて、実行する取り組みをについて宣言してください。

 

ひとつの課題につき、

①課題、②実行方法、③達成手段、④目的、⑤期日を明確にしてください。

課題として設定した内容のもととなった課題図書内の文章を抽出・抜粋してください。

課題として設定した理由を明確にしてください。

課題の表現は、肯定的なものにしてください、かつ具体的なものにしてください。

「頑張ります」は具体的ではありません。

期日になったときに、振り返りができる、

振り返って「どこが良かった、悪かったか」の評価ができる、

最終的に課題達成に行きつくために、

一回で達成できなくても二回、三回チャレンジして達成できるように、

見直しをかけていける内容としてください。

振り返りのできない課題は「やる気のない」課題だとみなします。

提出期限は、3月19日(日曜日)でお願いいたします。

 

第七回 究光塾へ続く...

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