究光塾リポート

第四回 究光塾リポート

2016年12月26日

<第四回 究光塾 全体の流れ>

 

1.先月の講義内容の振り返り 

2.「振り返りレポート」と課題図書 『君に成功を贈る』 読後リポートについて 

3.講義

4.論語

5.次月までの課題について

 

 

 

1.     前回の講義内容の振り返り(+α)

 

本勉強会に限らず、重要視しているものごとを、

表現のしかたや、たとえ話・事例を変えて繰り返しお伝えする。

これが講師の中村の特長です。

 

今月の究光塾においても、先月、お伝えした内容を振り返りながら、

プラスアルファ、先月とは違った観点からのお話をさせていただきました。

 

 

 

◆「短を捨て長を取れば、即ち以って万方の略に通づべし」

 (漢書 芸文志)

書籍しかり、事例としてお話しする企業しかり、

詳しく知れば知るほど、長所がある一方で、

当然、短所も見えてくるものです。

それは、たとえば、遠くから見ていれば綺麗な富士山も

登ってみればゴミが多かったり、

京都の祇園祭りも他府県の方からみれば羨ましいイベントであっても

住んでいる者からすれば 「人が多くてかなわんなぁ」と感じている

ということ同じだと思います。

ですから、学ぶときには、そのものの長所に焦点をあて、

長所を自分のなかに取り入れるようにしてください。

 

◆  「上見て暮らすな、下見て暮らせ」 

江戸時代は、世界的に見ても、

徳川家が治めた長期安定政権として評価されている部分があります。

恐怖政治をしくことなく、民が「この世の中で良いよね」と

感じていた一面があります。

その統治のために士農工商制度をつくったと言われています。

年貢をとる対象の農民を武士のすぐ下に置いて、

プライドをくすぐった。

「下を見てご覧なさい、皆、大変でしょう」と。

このように、自分より下を見て安心する意識、

すなわち「上から目線」が身に付いてしまうと、

向上心が湧いてきません。注意が必要です。

 

◆  「賢者は愚者からも学ぶが、その逆はない」

ただし、「私は賢者を目指す人間だから、下の者から学んでやろう」

という思考には決して陥らないように注意してください。

これでは、結局「上から目線」になってしまいます。

 

◆  人間は、ものごとの捉え方次第だということ。

自分の置かれた環境に対して文句ばかり言う人がいますが、

果たして、それが本人のためになっているか、

本人にとってプラスになっているかを考えば、

おわかりいただけるのではないでしょうか。

お釈迦様が「人生とは苦だ」というようなことを言っています。

どれだけ好物であっても食べ続けていれば、

いずれ飽きてくるわけで、苦になってきます。

逆に、苦しいこともずっとやり続けていれば、

できるようになって、ふと楽しくなることもあるわけです。

ずっと苦しい、ずっと楽しいなんてことはないんですよ、

ということです。

 

◆ 「ピタゴラスの定理(三平方の定理)」

   というものがありますが...

中学3年生で学習する内容のようですね。

たとえば 「ピタゴラスの定理を考えなさい」 という問いは、

日本語しておかしいわけなんです。

なぜなら、ピタゴラスの定理=公式に当てはめて計算をしている、

公式を使っているだけで、

定理自体について考えているわけではないからです。

そして、中学2年生は「ピタゴラスの定理」を分かりません。

まだ学習してないからです。

でも中学3年生になれば「ピタゴラスの定理」を分かるようになります。

授業で学習するからです。

 

これと同様のことがビジネスの世界でも言えると思います。

誰かが考えたことを使っている(当てはめている)だけのことというのは、

いずれ他社に並ばれて、抜かされていくものでしかありません。

自分の頭で考えたくない、自分が楽をしたい、というものは、

所詮それだけのものでしかないということです。

一方、自分の頭で考え出したことは応用していくことができます。

企業は人が集まってできているものですから、

企業の中で働く人間が「自分の頭で考える」ことをしないようになってしまうと、

その企業は衰退していくということになります。

 

◆  「学ぶとは 考えるとは 守破離」

「守破離」の「守」について、先月の究光塾のなかで、

自分の頭で考えることなしには「守」にはなりませんよ、

と申し上げましたが、

「守」とは「原理原則を学ぶこと・身につけること」

とも言い換えられると思います。

表層面だけをなぞるのは、いわゆる「パクリ」でしかありません。

 

たとえば、教育の目的の一つとして「時間の短縮」ということが上げられますが、

学校教育で学ぶことも受験のためだけに使っていると身にはつきません、

自分の頭で考えずに表層面をなぞっているだけだからです。

そうすると、その教育の時間自体も無駄になってしまいます。

 

あるテレビ番組のなかで、北野武さんが、

「因数分解なんて勉強したって何の役にも立たない」と言う中学生に対して、

「いやいや、俺は、映画のカット割りを考えるときに、因数分解を使っているよ」

とおっしゃっていました。

北野武さんは、バイオレンスな内容の映画をよく撮っておられますが、

たとえば殺し屋が4人の人間を殺す場面を撮るときに、

因数分解を使ってカット割りを考えていると言うんですね。

これが、「破」ということになるのではないかと思います。

因数分解という原理原則を学んで、

それを実際に自分の映画を撮るときに使う、

自分の居る世界に合わせて使っていく、こういうイメージです。

これは「環境に適応する」というところにも繋がっていきます。

 

そして「離」というのは、

差別化する、他と違うようなことをやる、ということ。

どうして「離」が必要かというと... 

東日本大震災の記録映像で、何メートルもの津波が押し寄せてくる際に、

港に停泊していた船や、海上保安庁の船が取った行動は...

押し寄せる津波に向かっていくというものでした。

つまり、環境から逃げるのではなく、環境に正面から立ち向かっていくこと、

つまり、安全地帯だと思っていた港から敢えて離れていく、

これが「離」のイメージだと私は考えています。

 

◆  「リベラルアーツが大事だ」と言われています。

「リベラルアーツ」とは、

「一般的な教養」のことを指しています。

元々存在している何かと何かを繋ぎ合わせて、

新しいものを生み出すことが「イノベーション」の一つでありますが、

「リベラルアーツ」=「一般的な教養」を身につけることが

イノベーションに非常に有効だと言うことが最近言われています。

 

「T字型人間」という言葉があります。

「T字」の横棒が幅広さ、縦棒が専門性を指しています。

この横棒にあたるのが、一般教養のイメージです。

本当にすごい職人さん、たとえば日本の古典的なものを扱っている方が、

英語がペラペラであったり、自分の仕事とはまったく違う分野に精通していたり

という方がたくさんいらっしゃいます。

 

一方で、「I字型人間」というのは、新しいことは生み出せない、

なぜなら、他のことを知らないからです。

他のところに存在しているものと、

自分の専門的なところを繋げることがイノベーションになるわけなんです。

 

今、振り返ってみたり、周りを見回してみると、

凄い経営者の方は、多趣味な方であったりします。

お金があるから遊んでいる、という多趣味ではありません。

ただ遊んでいるだけではなくて、

それを、きちんと仕事に取り入れ、繋げておられる。

これが、本来の「知行合一」ということに繋がるのだと私は考えています。

新しく学んだことを実行すること、

つまり「知行合一」を実践することが

イノベーションを生む第一歩になっていくのだろう、と思います。

そして一番やってはいけないのは、

仕事でストレスが溜まっているから、ストレスの発散で全然別のことをやる、

これでは何をやっても身に付かないと思います。

それは単なる逃避でしかないからです。

 

◆  リーダー、経営者となられる方に持っていただきたい考え方

・「自己を客観視できることが自己革新の源といっても良い。」

 (鈴木敏文氏)

 

・「自己変革こそが市場と顧客を満足させ職を保証する。」

 (ローレンス・ボシディ)

 

・「ヒューマンエラー」とは、やるべきことをやらなかったこと。

 

・正しいことをやらない人間がいるから問題が起こる。

 会社の経営で直面する問題は元を正せば、すべて人間が原因である。

 

◆   ロバート・カッツの「スキルマップ」

・ コンセプチュアルスキル 

  ...問題解決能力、課題形成能力。

   トップマネジメント(幹部階層)ほど大。

・ ヒューマンスキル 

  ...リーダーシップ能力、コミュニケーション能力。

   各階層に共通して求められる。

・ テクニカルスキル 

  ...専門的能力。

   ロワーマネージメント(一般社員・プレイヤー)ほど大。

 

新入社員にも、コンセプチュアルスキル=問題解決、課題形成をする力は

求められます。

一方、経営者にも経営上の判断をしていくうえで、

テクニカルスキル=専門的能力を身につけておくことは求められます。

これは例えるなら、こういうことだと思います。

ある経営者の方のご厚意で、

ゲネプロと呼ばれるオーケストラの通し稽古を見せていただいたことがあります。

そこでは、演奏者に細かく指示を出す指揮者の姿がありました。

オーケストラの指揮者というのは、自分ですべての楽器を演奏できなくても、

どのタイミングで、どの楽器に、どのような音色を奏でてもらいたいか

を指示することはできる。

これがトップマネジメントもテクニカルスキルを身につけておくイメージです。

 

◆  「イノベーション」についての概念

現段階では、参考までに聞いておいてください、

今後の講義の中でしっかりお話する機会を持っていきます。

・      シュンペーターのイノベーションタイプ(5つの類型)

・      ドラッガーによるイノベーションで5つのなすべきこと

・      ドラッガーによるイノベーションで3つのやってはいけないこと

・      ドラッガーによるイノベーションの3つの成功条件

 

 

2. 「振り返りレポート」と

  課題図書『君に成功を贈る』読後リポートについて

 

究光塾では、毎月終了後、受講者の皆様に「振り返りレポート」を作成いただき、

講師の中村はもちろんのこと、他の受講者にも配信し、共有していただいております。

また、毎月の課題図書のレポートについても、受講者同士で共有していただいたうえ、

相互フィードバック(他のメンバーのレポートを読み感想・コメントをつけていただく)を

行っていただいています。

受講者の皆さんに、多様な「視座」をお持ちいただくことを目的としています。

もちろん、そのやり取りについては、講師の中村はすべてに目を通していて、

必要に応じて、テーマとして取り上げ、お話をさせていただいています。

 

◆ 他の受講者の方の「振り返りレポート」について

他の受講者の方のレポート内容にも、

しっかりと目を通して差し上げてください。

かつ、講師(中村)からの返信内容・コメントにも

目を通していただくようにお願いします。

なぜかというと、たとえば、私がある受講者の方に対してつけているコメントが、

他の受講者の皆さんにも当てはまることがあるかと思います。

そうすると、そのやり取りやコメントを読むことによって

疑似体験をしていただけるからです。

今後、仕事を進めていただく中で、そのときの疑似体験を応用したり、

解決のヒントにしていただくことができます。

 

◆ 動機づけ理論について

先月『マズローの欲求5段階説(欲求階層論)』を用いて、

動機づけ理論について、そして、

「他者から受ける評価を目当てにするあまり、

 他人から評価を得られなければ頑張れないということに

 リーダーたる皆様方には陥っていただきたくない。

 他者基準(他人からの評価云々)ではなく、

 そこから一歩抜け出して自己基準(自分の中で設定した基準)に照らして、

 自分で自分を動機づけすることを目指していただきたい。」

ということをお伝えしました...それに加えて、

「外発的動機付け」「内発的動機付け」ということを

 ご紹介しておきましょう。

 

「外発的動機づけ」とは、

 外部からの褒美などの働きかけを受けることによって、頑張ろうとするもの。

「内発的動機づけ」とは、

 自分で自分をコントロールして、自発的に頑張ろうとするもの。

 

たとえば、普段、会社に出勤するには6時に起きて

「眠たいなぁ、辛いなあ」という人が、

ゴルフ好きで休日ゴルフに行くとなると5時にパシッと目が覚める。

いわば、これが内発的な動機づけです。

普段の会社に出勤する際の

「辛いけど、会社遅刻したらダメだしなぁ、行かないとなぁ」という

「外発的な動機づけ」との違いです。

どちらの方が、継続性があるか、そして質の高まりがあるか、を考えれば、

もう言うまでもないことですね。

 

◆  「機能快」と「効力感」について

「機能快」 

 ...自分の持っている能力を最大限に使う、

   自分の持っている機能を使い切るというのが、

   人間の一番の快感だと言われています。

「効力感」 

 ...世の中や、他人様のために役立っていると感じているときに、

   人間は、やる気が出ると言われています。

つまり「自分の能力を最大限に使って、他人の役に立つこと」

これが人間として一番気持ちが良い、やる気が出るということが

科学的にも証明されています。

こうしたものは、内発的か外発的かと言えば、

内発的でしか起こり得ないものだと言えるでしょう。

 

◆  課題図書『君に成功を贈る』に関して

中村天風さんが、神や仏に関しておっしゃっていることは、

「たとえば、お百度参りしたから商売が上手くいく、そんなことではダメですよ、

 仏様に拝んでいるから上手くいく、それは甘いよ。

 自分で行動しないとダメだし、神様や仏様に決められる人生で良いのですか?」

ということだと思います。

 

「宗教」については、いろんな考え方があると思いますが、

私が考えている宗教とは、

神様・仏様の教えではなくて、魂の教えであるということ。

どういう考え方をすれば、自分で自分を律することができるか、

ということが宗教のあるべき姿だと考えています。

 

本を読んでいて違和感を抱いたときに、心がけることは、

「なぜ著者は、こう考えているんだろう?」

つまり、肯定する観点で読んでみてください。

これが「無知の知」だと、私は考えています。

「自分は知らない」「自分は分かっていない」ということを認めて、

「なぜ、著者はこういうことを述べているのだろう?」

「自分の納得いかないことを、どうして著者は考えているのだろう?」

と考えること、決して鵜呑みにするということではありません、

しっかり考えていただくこと、これが「無知の知」に繋がっていくのだと思います。

 

 

 

3.    今月の講義内容(抜粋) 

◆ トップマネジメント

 結果に責任を持つ人が多い組織ほど、強い組織になります。

トップマネジメントの仕事とは、成果に焦点を合わせることです。

決して「長い時間働いている」「一生懸命頑張っている」ということではありません。

「成果を挙げる」とは「顧客を創造する」ことであると言えます。

 

◆ タイムマネジメント

トップマネジメントに必要な能力です。

マネジメントは「人」を通して行うもの。

「人」というのは「時間」というものに集約されます。

 

<タイムマネジメントのポイント>

時間を記録する(10分単位が望ましい)

 → 時間を管理する 

  → 時間をひとまとめにする。

成果を生まない時間を排除する。

他人の時間を浪費させない。=相手の時間を奪っているということ。

嫌なことは後回しにせず、まず手をつけてみることが大事です。

 

 

4.論語 

「学而篇」を見ていくことにしましょう。

 次回以降で、詳細な解説を行っていきます。

 

 

 

5.次回までの課題ご説明

▼ 「報告書」について

ご上司に報告書を提出し面談のうえ、ご上司のサインをいただいてください。

この報告書の目的は「上司とコミュニケーションを取っていだだくこと」です。

究光塾開催の翌週の月曜日を最終納期でお願いいたします。

(12月26日まで)

 

▼「振り返り」を全メンバーにメール送信してください。

3日以内の送信をお願いいたします。

① 本日の内容から得たこと

② 前回の『本日の参加により取り組むと決めたこと』の振り返り

③ 今月の参加により取り組むと決めたこと

④ その他

5W1Hをベースに、具体的な記述としてください。

具体的な目標設定が具体的な行動を生みます。

 

▼ 「次回までの課題」について

1)課題書籍は、『バカの壁』(著者:養老孟司)です。

2)「木鶏」という言葉について調べて、レポートを作成してください。

提出期日は、1月15日(日曜日)でお願いいたします。

 

 

次月 新年 第五回 究光塾に続く...

前のページに戻る