経営コンサルタント|株式会社中村経営講究社

労働者死傷病報告 ー Q.従業員が業務中に軽傷を負って、会社を休みました・・・

2022年06月30日

Q.今般、従業員が業務中に軽傷を負って、5日間、会社を休みました。病院にかかった費用は会社で負担しましたし、給与も全額支払う予定です。労災保険は使わないつもりですが、問題はあるでしょうか? 

A.労災保険を使用しないことに問題はありませんが、そうした場合でも、会社は「労働者死傷病報告」を提出する必要があります。

 

労災事故が発生した場合、会社には、治療費や給料について補償責任が発生します。ですので、今回のように、会社負担で補償することに問題はありません。本来的に、労災保険は被災した労働者の請求に基づいて給付が行われるものであり、「労災保険を使わないこと」自体は違法にはなりません。

ただし、そうした場合であっても「労働者死傷病報告」は必要です。

「労働者死傷病報告」は、労災保険法ではなく労働安全衛生法によって提出が義務付けられています。よって、労災保険を請求するかどうかに関わらず、「労働者死傷病報告」は提出しなければなりません。

「労働者死傷病報告」は、休業を伴う労災事故が発生したときに管轄の労働基準監督署へ提出しますが、休業日数が4日以上の場合と、3日以下の場合で提出時期が異なります。

休業した日が4日以上、または死亡事故が発生した場合 → 事故発生後、遅滞なく(おおむね1週間から2週間以内)提出する

休業した日が3日以下の場合 → 3ヶ月に1回まとめて(例:1月~3月分は、4月末までに)提出する 

「労働者死傷病報告」の提出を怠ると、処罰されることもあるので注意が必要です。

※1.通勤災害の場合や、社長などの労働者でない人については「労働者死傷病報告」を提出する必要はありません。

※2.社長などが特別加入していれば労災保険の給付を受けることができますが、その場合でも労働者でない人については「労働者死傷病報告」の提出する必要はありません。

下記より、無料会員にご登録いただき、過去のブログもぜひご覧ください。

まだ会員に登録されていない方

新規登録(無料)

過去のブログ記事タイトル一例

  • 2022年05月31日 「代休」を取得した場合の給与計算 ー Q.「休日出勤」「代休」の具体的な計算方法は・・・
  • 2022年05月02日 振替休日と代休 ー Q.今般、従業員に、日曜日に出勤をしてもらう必要があり・・・
  • 2022年03月31日 身元保証書 ー Q.当社では、慣例的に、新入社員に対して「身元保証書」の提出を求めておりますが・・・
  • 2022年02月21日 給与明細 - Q.「給与明細」として従業員に発行・通知する内容には、法律的な取り決めはあるのでしょうか? 
  • 2022年01月19日 給与締め支払日の変更と随時改定 - Q.この度、当社は給与の締め支払日の変更を行いましたが・・・
  • 2021年09月10日 研修費用 ー Q.退職者に研修費用を負担させることはできるでしょうか? 
  • 2021年08月09日 Q.休日を半日単位で振り替えることはできるのでしょうか?
  • 2021年06月15日 Q.「高年齢者雇用安定法」に改正があったようですが・・・ 
  • 2021年05月10日 給与締日・支払日の変更 ー Q.当社では、毎月20日締め・当月末日支払いにて、給与事務を行ってきましたが・・・
  • 2021年04月09日 特別休暇 ー Q.慶弔休暇、病気休暇、ボランティア休暇など・・・